@携帯


「や。サスケ、おーはよ」

「…ああ」

携帯。…と言うのか未だに謎だが
愛用してるそれが俺の腹辺りに座ってニコニコしてる。

「…水月」

「んっ?」

「‥若干…重い‥」


腹に座るな‥

途端、ぷぅと膨れた。
ああまったく…

「ぐ…、まぁいい、ずれてくれりゃ変わる…」

「こう?」

「っ!水月、ワザとかお前」

「へへ」

思いっきり擦るように人の下腹部あたりにずれやがって…

ああはっきり言うならアレの上。
やめろ、て。


「おっきろー!」

「ぐぁっ起きてる!このっ…!」


楽しそうに人のアレの上で跳ねやがってマジで何すんだ
頭とか他の場所が起きる前にソコが起きたらどうすんだお前
責任取れるのかオイ。


(寝起きだからだ、こんなバカなこと考えるのは…!)

そういうことにしとこう。己のために。


掴まえてやろうと手を伸ばすと構われるのが嬉しいのか…


「っ…逃げんな腹の上で!」

「へっ、腹じゃなきゃいーんだろ?」

「くっ…の!おまッ水月!」


そりゃもう可愛い顔で笑ってる。


この状況を楽しんでる俺もマジどうなんだろう。

…深く考えない。

よし、そうしよう。
それが利口な考え方だ。



「あははっ、サスケ起きろーサスケJr.も起きちゃえー」

「起きてたまるか!!」


なんだJr.って!名前を付けるなッ


「こんのっ…!」

「わッ!」

思いっきり勢いをつけて転がした。

「ぅ、わぁー…」

「フン…」


立場逆転。


今は俺が上になったわけで…


(て、何がしたいんだ俺は…!ケータイだぞ一応ッ)


「サスケ…」

「ん…?」

「なんか、恥ずかしい…どいて?」


……。


退きたくなくなる。



「…嫌だな、出掛けるの」


「ええ、駄目だよボク一生懸命起こしたのに…」

「一日くらい行かなくても取り返せるしな…」

「ちょっとー、サスケ〜」


馬乗りにしてるわけじゃなくて水月に覆い被さるようにしてるだけ。

ちょっと困った顔、ハの字の眉が可愛くて

俺はサボりを決めた。


「ふん、元はと言えばお前が悪い」

「…ボクなりに毎日工夫して起こしてるんだよっひどいなぁもう」

「そうじゃない。それは良くやってくれてると思う。でもそこじゃなくてな」

「…なにさ」


"俺に依存させたお前が悪い。"


完全なる責任転換。
でも彼は

「…そりゃ‥仕方無いね」


してやったりと余裕の笑みを浮かべたり。




まったく、携帯ってのは一度依存すると面倒なもんだな…


愛着が湧いて
手放せそうにない。




「サスケ、…ボクに触って」




囁かれるままに。




俺ももう

携帯依存症

まっしぐら。



-終-

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