@兜水



今日はね、使ってみたいものがあるんだよ。


ああもう鬱陶しい。

「ボクはお前に好き勝手されたくない、今すぐこの不愉快な戒めを外してよ」

この変態野郎。

ギッと睨み付けても相手はくつくつと余裕に笑う。


「ほんと、威勢が良いね。大蛇丸様に囚われてるんだからもう少し怯えてても良いんじゃないかな」

「ッ」

ガシャン、戒めが揺れる。

「くそ、何した‥」

「君に合う薬を投与しただけさ」


まただ、腹立つな本当に。
液状化して逃げようとしても身体は言うことを利かない。

「自分の身体じゃないみたいだろ?」

「ッの、‥ぅッ、ぐ!」

「やめなよ、腕に傷が付くだけだから、ね、水月くん」

「……っ」

ガシャンガシャン、諦めも悪く戒めを何度も腕で揺らす。
傷が付いたって構わない。

「まったく‥」

あいつの手が自分に伸びてきた。

「っ、触るな!」


気付いたボクはその手を蹴る。
‥本当は何をしたって無駄だって分かってたよ。

だから唇を噛み締めて涙の滲んできた目で睨むことしか出来ない。

「諦めが悪いなあ、そんな目で睨まれても怖くないことくらい分かってるよね?」

「ぃ、や‥っ」

「あまり暴れないでくれないかな、今日はそんなに時間がないんだ」

「っ‥う、ゎ、あ、ッ、いやだ、いやッ…、んんッ!!!」


痛い…ッ


「力抜かないとこれは本当に痛いからね?気を付けなよ」

細い管を尿道に通されている。
ローションか何かで滑りは良くされていても痛いものは痛いし
そんな状況を見ているのはゾッとする。

「っぁ、‥あ゛」


怖い、痛い‥っ

助けて……


もう、やだぁ…っ


「兄さ…っ」


「‥、君もか」

「へ‥?ぅぁあッぁ、‥ぁあっ」

管が収まりきったらしい
その瞬間後孔に玩具を突き入れられた。


「く…っるし…っ」

「今日はあんまり時間がないからね、まってあげられないけど‥」

さっき投与した薬ですぐに射精までいけるはずだから。


「っは‥あ、…っぁ」

痛みで頭が朦朧とする。
視界もはっきりしないでだらしなく開いた口から息が漏れた。


「僕の声は聞こえてるかな?」

「っは…っ、ぁ、っは‥く…っ」

自由の利かない身体。
ぼんやりと無意識に小さく数回頷いた。

その間にも玩具は前立腺を突いて腰の痙攣は収まらない。


兄さん…っ、兄さん
満月兄さん‥、なんで先に死んじゃったの

なんでボクを置いて‥


「ふぁあッ…!!」


ボク、独りになっちゃったじゃないか……


「ほら。ちゃんと息をしないと」


兄さん…。



痙攣を起こしている身体で上手く呼吸が出来ない。

垂れる唾液も溢れる涙も拭うことすら出来ず、痛快に身を歪めた。

「っあ゛…!!で、る…っ、やだ、怖、いっ…っ」

さすが、言っていただけあって身体の絶頂は早い。

「ぅっふう‥怖、い‥怖い、よっお…っ」

すがるように訴えてもこの行為に意味も愛もない。
所詮は実験されてるに過ぎないのだから。


「……、そういう目もしてみるもんだね‥」


「んんんっんあっああっ…っ!!」

管のせいで上手く逃すことの出来ない熱が体内に廻って熱い。


「…っひ」

振り上げられた手にびくりと身を怯ませたが

その手はそっと涙を拭って髪を撫でていった。


「っはぁっはあッ…っやぁっあッ」

頬を撫でた手の平の意味がわからず困惑した瞳で見つめたが相手はバツが悪そうに手を離しただけだった。

量を増して外に逃がしたはずの熱がなかなか出ていかない。

「くぁッ、ぁああ‥っ‥」

それどころか管を通るせいか抜けきらないず射精感が長く続く。


「んん、もっ、…っやだぁ」


びくびく揺れる身体が嫌だ
肌に擦れる布にさえも敏感に反応した。



「‥そろそろ、時間だね」

「っぁあっあ、はあッ」

「もう戻らないとな、‥楽にしてあげるね」

「っ!!や、やだ、さわ、ないで、っん」


管を抜かれて代わりに手ですかれる。


「っく、ぁあッああッ‥!!」


一気に抜けて一瞬呼吸を忘れた。
目を見開いてだらしなく開いた口。
力の抜けない身体が射精後の気だるさを徐々に訴えた。

「っはぁ…は…っ」

玩具を抜かれ、それにすら、んっ、と反応を残して
火照った身体を目の前の男に晒す。


「…っ、もう寝たい、意識の飛ぶのちょうだいよ…」

「薬?それともここに欲しいのかな」

「最低…っ」

「身体拭いてから水槽に戻してあげるよ」

「じゃあ…っ早くしてよ‥、いつまでも、アンタと二人とか…っ何されるか分かんなくて怖いから」


「減らず口だなあ、まったく‥」


またその手に触れられるのにイラついたけどふと思い出した


―――……さっきなんで、撫でてくれたの‥?




その手があまりにも優しくて
一瞬兄貴と被った。



(‥ああ、ボクは今寂しいんだね)




現実逃避も兼ねて

そんなことを考えた。




(アンタなんて大嫌いだけどね)




-終-
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