@携帯⇔

えーと‥

この状況は理解が追い付かないんだけど

「おい、起きろ水月、朝だ。」

「…………」


現実を見たくないので起きたくありません。

「起きないのか、ならそれでもいいぞ」


……え


「んんんッ!!」

ち、ちょっと!窒息する!

「ぷぁ!も、なに、君は‥普通に起こしてよ‥」

「お前が起きないからだ」


いや、そんなことはない。
てゆか、どこの世界に昨日までは畳めば普通に片手に収まるケータイが、翌日起きたら擬人化してるんだよ
どんなファンタジーなの

しかもアラーム機能らしいけど朝から濃厚なキスってハッキリ言いまして窒息するってば
さらに見た目男の子に、つまりは同性に唇奪われちゃったボクはどんな反応すれば良いの?
百歩譲って、イケメンで整った顔をしてても現実はなかなか酷なもの突き付けてくるよね!?


「飯、作っておいた」

「え、うそ、君が‥?ありがとう‥」

こんな俺様っぽい人でもそんな気の利くことしてくれんだ‥

「行くぞ」

「ちょ、引っ張らなくても行けるってばっ」

ぐいぐいと手を引かれながら食卓へ

「ん、おにぎりだ、何味なの?」

「食べてからのお楽しみだな」

「あは、そゆことも言うんだね」

君、以外と面白いね

「あー、おかかだね」

もしかして君、おかか好き?

「‥」

「ふふ、そうなんだ。ね、充電てどうすんの?」

「ん?」


すくっ、と立ち上がった。
え、なにどしたの。

ボクは二つ目のおにぎりを頬張りながら見つめる。

「んぐっ‥!?」


「……」

「げほっ…、ちょっと…、君ね」

「サスケだ。触れるだけにしたろ」

「あんねぇ、食べてるのに、もう…」

またしても。
これ充電と関係ないよね?
いやまさかあるの?
やややないないない。


「本来ならもっとちゃんとしないと満単にはならない」

「え、‥何言ってんの‥」

「これが充電」

「う、うそ、だ…」

「…………」


「…………、分かった、信じるから。君が言うとなんかね‥本当に聞こえちゃうのが不思議だよ」

「サスケだ」

「‥さすけ?ああ、君の名前ね、分かった、サスケだね、うん、改めて宜しくね」

にっ、と笑う。

……あ



彼が笑った。

小さく。

でもちゃんと。
その笑顔がすごく印象に残った。


「……君って、サスケって不思議だね、ボク、サスケのこと好きになりそう」

「……」

きょとん、そんな感じ。

「…フン、早くなれよ。俺がこんなにアピールしてやってるのに」


あらら…


「あれ、ボクってもしかしてサスケに好かれてる?」

「………、食い終わったな」

「?ああ、うん、ごちそうさま。美味しかったよ」


「‥俺も」


充電。

そう囁かれて唇を奪われた。


「ぅ‥ん……」


あらま、同性なのにね。
‥携帯に性別なんてあるんだ……
初めて知った‥


「水月‥」

ボクもおかしくなったかな。

「ぅ‥?」


「早く俺に依存しろ」



ああもう。



――――おかしくなりかけてる。


「‥サスケ」





堕ちきるまで

あと


少し……――――――――




-終-
- 13 -

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