境界線(幸佐)
 2018.06.15 Fri 08:16

・幸村×佐助
・佐助視点
・現パロか戦国かはお好みでご想像にお任せします
・なんか色々抽象的

以上のことにご理解頂けましたら、本文へとお進み下さい。













『境界線』





自分の足元。爪先のほんの少し先に、線があることに気が付いた。
一体なんのために引かれた線だろうか。軽々しく踏み越えてはいけない気がして、一歩距離を置く。
いつからあったのか。何を意味しているのか。見つめ、考えた所で答えは出ない。
(あ。)
目線を上げると、線を挟んだ向こう側に真田の旦那の姿があった。
思わず一歩近付くと、不意に旦那の表情が見えなくなる。余裕で目視出来る距離のはずなのに、まるでモヤがかかったようにその表情だけがうかがえない。
ハッとして足元を見下ろすと、爪先がわずかに線に乗っかっていた。
一歩二歩と後退すれば、再び旦那の表情は鮮明になる。
その瞬間、唐突に理解した。

この線は、境界線だ。

恋だの愛だの、そういった類いの境界線。
一歩でも踏み込めば、たちまち恋に落ちてしまうのだろう。

…なんて、言ってみた所で。
この境界線の意味を把握出来たってことは、既に俺様は自分の中にある恋心を自覚しているって訳で。
だったら、答えは一つ。

「落ちるとこまで落ちていくのみ、ってね。」

明るい、いつも通りな旦那の表情は、線に近付けば途端にモヤがかかる。
あえて大きな一歩で線を越えれば、視界は次第に…ゆっくりではあるが、確実に…晴れていった。
最初は驚いた顔。
次は、少し照れたような顔。
そして、嬉しそうな顔。

あぁ、いつもの旦那だ。
ほっと胸を撫で下ろし、知らずに力んでいた両肩から力が抜ける。
『見えた表情が、もしも嫌悪のそれだったら』。そんな不安は杞憂に終わった。
線を踏み越えたことは、己の過ちとならずにすみそうだ。

らしくなく浮かれた足取りで駆け寄って、さぁそれでは改めて、と胸に空気を送り込む。
「旦那。俺様は、あんたが好きだ。」
そりゃあもう、大好きだ。

さぁ、返事を聞かせてくれ。
例えどんな答えでも、あんたの口から聞くことに、なにより大きな意味がある。

ふと、落とした目線の先。
旦那の足が、線を踏み越えるのが見えた。




END



『恋とは落ちるものではなく踏み込むもの』






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