共存共栄(幸佐)
 2014.12.27 Sat 03:49

・幸村×佐助
・現代パロ
・風邪ネタ
・同居(同棲?)しています

以上のことにご理解いただけましたら、本文へとお進みください。













『共存共栄』





「旦那ァ、俺さま今日学校休むー…」
力ない声に振り向けば、部屋のドアに気だるげに寄りかかる佐助の姿があった。顔色はやや青く、表情は明らかに覇気がない。
「ど、どうしたのだ!?」
つらそうな様子に慌てて足を踏み出せば、距離が近付くよりも先に手を突き出された。こちらを向いた手のひらは、「それ以上近付くな」と言外に語っている。
素直に足を止めた幸村に、佐助はほっと頬を緩ませた。
「うつすと、悪いから。」
うつすということは、風邪の類だろうか。
(このような時でさえ、佐助は俺を気遣うのか!)
もっと自分のことを大切にしろ、と叱ってやりたいが、今はそれどころではない。彼のハンドサインには無視を決めこみ、静止のために伸ばされた腕をつかんだ。
直接伝わってくる体温の熱さに、自然と眉間にしわが寄る。
こんな時くらい、頼ればいい。
「ちょっと、旦那…!」
「黙っておれ。」
つかんだ腕を引き寄せれば、佐助の体は容易くよろめいた。勿論、さほど強い力を出した訳ではない。その事実にもまた腹が立つ。
抵抗の隙もなくさっさと抱き上げた幸村は、有無を言わせず自室へ急いだ。



「少しここで待っておれ。」
「…ハーイ。」
観念したのか、だるいのか。佐助はすっかり大人しくなっている。これ幸いと自分のベッドに横たえさせて、幸村は足早に佐助の部屋へ向かった。
そこはいまだカーテンが引かれたままで薄暗く、心なしか、空気もよどんで感じる。
眉をしかめた幸村は、手始めに窓を大きく開け放った。朝の眩い日光と澄んだ外気が入り込み、それだけで部屋の印象はガラリと変わる。
次いで寝具へと向き直り、乱れたベッドカバーを新しいものと交換した。出来る限りシワの出来ないようにと心がけてはみたものの、仕上がりはどうにか及第点、といったところだろうか。
「佐助のようにはうまく出来ぬな…」
いとも簡単にシワひとつないベッドを完成させる彼に、改めて感心する。あれは本当に、なんでもそつなくこなす男だ。

空気の入れ替えを終えた窓をしめ、リビングから引っ張ってきた加湿器を稼働させる。エアコンの温度も調整したし、思いつく限りのことはこれですべて出来たはずだ。
「よし!」
あとは、ここに佐助を寝かせればいい。
幸村は満足げに頷くと、佐助を迎えに自室へ戻った。



「…。」
幸村が部屋を用意していた時間は、どれくらいだっただろうか。確かなことは解らないが、十分とたっていないはずだ。
それなのに。
「寝ておる…。」
佐助は、安らかな寝息をたてていた。
用意が出来るまでの、あくまで一時的に横になっていて貰うだけのつもりだったので、当然、ベッドカバーも毛布も自分が昨夜使ったもののままだ。
折角寝ているのを起こすのは忍びないが、そうも言っていられない。

「佐助。起きぬか、佐助。」
ゆさゆさと肩をゆすると、鳶色の瞳がゆっくりと開かれる。
熱のせいか潤みを帯びた眼差しに、ぐっと言葉がノドに詰まった。
「へ、部屋の用意をしてきた。移動するぞ。」
どうにかそれだけ伝えると、佐助の腕を引いて体を起こすように促した。速くなった鼓動には、今は気が付かないフリをする。
だというのに。
佐助に体を起こす気配はなく、むしろ毛布を巻き付けるかのように体をねじった。
「ほら、佐助。」
ふざけている場合ではないぞ。軽くたしなめるも、効果はまるでないようだ。
呆れて溜息を一つ吐き出すと、佐助は「だって」と申し訳なさそうに眉尻を下げた。
「ここ、旦那の匂いがして落ち着く。」
熱にうなされた顔で、へにゃりと力なく笑う。その笑顔に、不謹慎にも胸は高鳴った。
このままでは駄目だと慌てて顔をそらした幸村は、極力佐助を見ないように毛布ごと彼を抱き上げた。
柔らかな毛布の感触が心地よいのか、はたまた彼の言う匂いに包まれて嬉しいのか。佐助は気持ち良さそうに目を閉じている。
毛布越しに胸へと頬をすり寄せる仕草が、幼子が甘えているようで愛らしかった。



「…旦那、すまねぇ…。」
不意に聞こえた、小さな呟き。
頼りなく響いたその声音に、幸村はやれやれと息を吐く。
「馬鹿者。こういう時は『ありがとう』だ。」
「…ん。」
消え入りそうな「ありがとう」の声に、幸村は頬が緩むのを抑えきれなかった。

このくらい、どうってことはない。勿論、迷惑などという感情に至っては微塵も感じてない。

佐助は、もっともっと俺を頼ればいい。
なによりも、俺自身がそれを望んでいるのだから。





END




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