虚心坦懐(親佐) ※R15
 2014.08.13 Wed 18:40

『気まぐれフリリク』にて頂いたリクエスト『親佐のR指定』の消化作品です。
リクエストして下さった本人様のみ、お持ち帰り可能です。
(その際には、一言ご連絡をお願い致します。)

以下、注意事項

・元親×佐助
・戦国設定
・R15
・…ですが、他のR15作品と比べると、エロ要素強めです。苦手な方はご注意下さい
・いつも通り、甘いです

以上のことにご理解頂けましたら、本文へとお進みください。













『虚心坦懐』





西海の鬼が持つ銀色の髪は、見た目の期待を裏切らず、肌にひやりとして触れた。
その心地よさに思わず胸に抱き込めば、潮の香りが鼻腔をくすぐる。
日光と潮風にさらされて、傷んだ銀糸。指を差し込めば、ぎしりと音がしそうな程にからまった。
「イテェから引っ張んな。」
少し下から声が聞こえて、別に引っ張った訳ではないと弁解する。
ただ、髪をすこうとしただけだ。
まぁ、痛いというのならば、大人しく手を離してやろう。
絡んだ髪は、この際知らんぷり。鳥の巣の方が余程上等といえる惨事でも、どうせ本人には見えやしない。
「あんたの髪は、海と、機械油の匂いがする。」
すん、と鼻を寄せると、男はくつくつと笑った。
「嫌いじゃねぇだろ?」
不敵な目が見上げてきて、こちらも負けじと笑みを浮かべる。
「うん。好きだよ。」
存外素直に認めれば、ぽかんと口を開けた間抜け面が返ってきた。
白い肌がみるみると朱に染まって行く様は、なんとも愉快なものだ。
鬼はたくましい腕を俺様の腰に回し、顔を隠すようにして腹に額をこすりつけた。
そんなことをしたって、真っ赤な耳が銀糸の中から覗いている。
可愛いなぁ、と、これまた本音が口をつく。
ポンポンと軽く叩くようにして頭を撫でると、両腕の拘束が強まった。次いで、腹回りの薄い皮膚に歯を立てられる。
痛痒さに身をよじると、今度はヘソを舐められた。
ぬめりとした感触はそのまま首まで這い上がり、ちゅ、と軽く音をたてて離れていく。
近くなった顔を見つめると、先程とは異なる意味で赤くなっていた。
熱に煽られ、隻眼に滲むのは欲の色。
捕って喰われそうな迫力に、ぞわりと、背筋を快感が駆け抜けた。

「っ…」
「声、聞かせろよ。」

唇を噛み締めると、口の端から強引に親指を差し込まれる。
噛みつく訳にもいかず声を漏らすと、鬼の口は満足げに意地悪な三日月を象った。
懐が深く、「兄貴」などと呼ばれ慕われる男の言動とはとても思えない。
戦場で見せる時ともまた違う、雄の顔。鬼の顔。
この顔が好きだという自分がいて、全く困った悪趣味だとぼんやり思う。
水の膜が張った視界の中で、鬼がその動きを止めることはない。
丁寧でいて、遠慮はなく。
焦らすように、執拗に。
ことさら優しく、慈しむように。
こちらの羞恥と快楽を煽られ続け、忍である俺様でさえ、音をあげたくなる。
頼むから、そんな扱いをしないでくれ。
そんな心の叫びを知ってか知らずか、鬼は体の隅々まで暴き、喰らい尽くして行く。

突き上げられ、揺さぶられ。
声がかすれ、喉が痛む程鳴かされて。
理性はとっくにぶっ飛んで、目にも頭にもチカチカとした星が散る。
もうイヤだ。ダメだ。欲しい。イきたい。キモチイイ。
そんな言葉ばかりが、ぐるぐると思考の渦を巻く。
声と体で必死になって訴えると、ようやく、望むものが最奥に放たれた。


今宵は満月。
忍ぶには不便な、色濃い影が浮かぶ晩。

青白い月光に照らされた彼を見て、感心する。
銀の髪。一つの眼。精悍な体つき。
ずいぶんと、美しい鬼もいたものだ。

いつの間にかすっかり囚われてしまっていたのだと嘆息すると、こちらを見た鬼はふにゃりと笑った。
その顔から伝わる感情に、自然とこちらの頬もゆるくなる。

「おい猿飛。あんた、いつまでこっちにいられる?」
「長くて一日。それがやっとかな。」
「…みじけぇよ。」

拗ねた口調とともに強く抱き締められ、思わず笑い声をあげた。

どうやら、囚われたのはお互い様らしい。





END




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