幸福のお裾分け(小十佐)
 2014.07.19 Sat 20:05

・小十郎×佐助
・佐助視点
・現代学生パロ
(ただしあまり活かせていません)
・佐助がチャラい

以上のことにご理解頂けましたら、本文へとお進み下さい。













『幸福のお裾分け』





何故好きなのか。どこが好きなのか。正直なところ、自分でもまるで分からない。
きっかけはあったのだと思う。理由もなく人を好きになるほど、自分は純粋ではない。
ただ、自分で思っている以上に、色恋沙汰には疎かったようだ。
好きだと気付いたきっかけが、幼馴染みからの何気ない一言だったからだ。
「お前は、あいつのことが本当に好きなんだな。」
なんの話の流れからか、そんなことを呆れた口調で言われた。なに言ってんの、と笑い飛ばそうとして、それが出来なかった。
好き、と繰り返した言葉が、胸の内にすとんと納まった。
あぁ、そうか。俺様は、あいつが好きなのか。
感情に特別な名前がつくことに、なんの抵抗もなかった。むしろ、物凄く納得した。すっきりしたとさえ言える。
俺は、あの人が好きなんだ。

「…ってことがあったんだけど、片倉さん、あんた俺様と付き合う気ない?」
自分で言うのもなんだけど、俺様結構気の利く方だし。顔だって、特別整っちゃいないけど、目も当てられない程に不器量って訳でもない。一人暮らしで自炊もしてるから、料理だってお手の物。
うん、中々好条件が揃ってると思うんだよね。
「ね、どーする?」
弁当を口に運びながら問いかけると、目の前の男は苦虫を噛み潰したような顔をしていた。眉間のしわが凄いことになっているけど、それでもやっぱり男前に変わりはない。
「…おい。」
「んー?」
「今のは、告白のつもりか?」
つもりも何も、告白以外の何だと言うんだ。当ったり前じゃん、と少し呆れて答えると、怖い顔で睨まれた。そんな怒らないでよ。
「もう少し、言い方ってもんがあるだろうが。」
言い方。言い方、ねぇ。
「片倉せんぱぁーい。私ぃ、あなたのことがぁずぅっと大好きでぇー…」
「やめろ気色悪ィ!」
全部言い終わる前に、思いっきり頭を叩かれた。裏声まで使ってやったって言うのに、そりゃないだろ。
痛む頭をさすっていると、片倉さんは盛大な溜息を吐いた。幸せが逃げるよ、なんて言っていたのは誰だったっけ。
俺様と付き合うっていうのに、幸せが逃げたら困るんだけど。
「ねぇ、片倉さん。」
返事はない。けど、聞こえていることは解る。
俺様の声を、聞いてくれていることは解る。
根気強く見つめていると、ようやく視線が絡まった。
「俺様、あんたが欲しいんだってば。好きだよ、小十郎さん。」
今の俺様は、きっと常では有り得ないほどに真面目くさった顔をしている。
目の前のしかめっ面をじっと眺めていると、再び、溜息をもらされた。
「初めっからそう言いやがれ。」
言い終わるが早いか、腕をつかまれて体を引っ張られた。
抵抗せずに腕の中に飛び込むと、ヘアバンドをずらされ、額にキスをされる。
口にしてくれても良かったのに。
「お返事。聞かせてくれないの?」
視線を上げると、いつもより少しだけ目元が赤くなっていた。カッコイイうえにカワイイだなんて、反則だろ。
そんなの、惚れるに決まってる。
「…俺も、好きだ。」
「だと思ってた!」
いつもの調子で笑ってみせると、「調子に乗るな」と叱られた。本気じゃないとわかっているので、謝らずに笑みだけ返す。
これにて晴れて両想い。
気持ちに気付かせてくれた幼馴染には、あとで報告とお礼を言いにいかなっきゃ。
ついでに、ノロケも聞いてくれるだろうか?
きっと、ウザいって怒られるだろうな。
わかっちゃいるけど、話したくて仕方がない。
今の、この、幸せな気持ちを。誰かに、自慢したくて仕方がない。

幼馴染には悪いけど、最後までしっかり付き合ってもらおう。
そう心に決めながら、俺様は暖かな腕の中を堪能した。





END




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