うたぷり トキヤ
 2014.02.03 Mon




「…出会う前から、やり直したい」

「……」

「出会い方が悪かったわ、私達」

「たしかに、そうかもしれません…」

「トキヤ、どうして…」

「聞かないでください。何も」


そう言って顔を伏せた私に、彼女も居心地悪そうにただ口をつぐんだ。きっと聞きたいことも、言いたいことも山程あるだろう。逆の立場だったら私だってそうした。それでも私が今彼女の言葉を遮るのは、自分の最後の自尊心を守るために他ならない。想定していた通りの質問を彼女の口から聞いてしまったら、きっと、堪えられない。


「どうして、君がこんなところに」

「質問させないのに、自分はするのね」


ずるいわ。うつむいたまま呟いた彼女の瞳は揺れていた。


「春に届け物があったから寄っただけよ」

「…そうですか」

「1つ答えたんだから、1つ質問をさせて」

「……」

「無言は肯定とみなすわよ」

「……」


はあ、と重めのため息とも深呼吸とも取れない息をついてから、彼女は重々しい声で俺に詰め寄った。


「どうして女装して女役なんてやってるの?」

「……」

「趣味なの?変態なの?マサと付き合ってんの?」

「ちょ、近い…近いです…!」

「ねぇ、写真取って待ち受けにして毎朝笑ってもいい?」

「やめてください!」


含み笑いで耐えていたST☆RISHが噴出した。











4話











20140203


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