ディグレ アレン
 2013.09.18 Wed





「私は好きよ?白」


唐突に発せられた言葉にその場にいた誰もが目を見張り、そして彼女と対峙する少年を見た。目を見張ったまま動かなくなった少年を、女は意味ありげに見つめながら目を細めた。


「白が、好き」


今度は少年の雪のような髪を撫でるように見つめながら吐息を吐くように言った。
卑怯である。周囲の誰もが心の中でそう呟いたに違いない。核爆弾のような彼女の一言はこの幼い少年を一瞬で捕えた。それどころか落とした。楊貴姫も真っ青の瞬殺っぷりだ。


「一面が白ってさぞ気持ちいいんでしょうね?」


小首を傾げた彼女に少年の喉がごくりとなる。待て、早まるな。お前が取るべきはそのマスじゃねぇ。


「アレンって優しいのね」


なんだか私、もっと白が好きになりそうとアレンにもゲームにもトドメを指した彼女はマスの角を一瞬で攻め落とし喜々として笑った。





オセロ






20130918


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