何回やっても何回もやる蔵馬を蹴って蹲らせて、森を抜けるところでそいつと会った
「……………」
向こうも俺も、互いに見合う
何でこんな外れに、ってとこだろう
疑問符は、こんな外れに隠れ家を作った時代の蔵馬にぶつけてくれ
コートを被っただけの俺の素足がはみ出してるのは察しろよ
「…いつまで見てる」
紫の目、緩くなびく髪の毛先が紫の他は薄い金色しかしていない男は未だ俺から目を離さない
「殺さないんだ、と思って」
「…死にたいなら勝手に死ね」
「死にたくないよ。だからここにいるんだから。けど、見つかったら仕方ないなあって」
確かに、確かにものすごく辺鄙な魔界の外れだ
蔵馬にも何故こんなところに、と尋ねて体で答えられて全く後悔した
そして更には薬を盛ったな、でなければあれほどやってまだ疼く体の説明がつかん
「ひとりぼっちなんだ、僕。戦ったことないからすごく弱いし。ずっと端によけて逃げて来た。ここでだめなら他はないから…」
「…何だ?」
緑の葉の大きい、小さな紫の実がひとつなった右手を差し出された
「体、つらそうだから。これできみの敵わない相手に僕のこと黙っててもらえないかな」
敵わない訳ではない、お互い本気で戦ったら勝敗は分からないが…
俺が、蔵馬以外から薬草をもらったことがないのは明確で
「………………」
「大変だね。強力な薬を飲まされて」
分からない
分からないが、熱い頬、首から胸に落ちる汗、足首まで赤い肌
息苦しい空気
緑と金と紫色
「……逃げた方がいいと思うがな…」
黙っている代わりに受け取った顔が、赤い
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