「飛影、飛影。かわいいよ、大好き」
「……………」
「本当に、どうしてそんなにかわいいんです?他の男をもてあそぶ為ですか?俺がいるじゃないですか」


あー…あー…あー………
蔵馬、俺もお前に訊きたい
どー…して、お前はそんなにうっとうしいんだ?

お前は俺に食事を用意する
慣れた手つきで温かいうまい飯が作れるが、雪菜は毎度ケガをする

包丁で指を切り、茄子やきゅうりのトゲが刺さり、天ぷらを揚げてはヤケドする

雪菜の周りは雪菜に甘い奴だけで、あいつは雪菜さん無理しなくていいんすよ
あいつの姉は和、あんたが作りなよ

あいつの父親までが、面倒だから食いに行こうと、甘い


「あー、雪菜ちゃんのおかげだなー。かわいい飛影とくっついてられるなんて」
「…ふん、あいつはお前に甘いからな。良かったな、その顔で」


大丈夫ですか、雪菜さん!あっ、そうだ!蔵馬の薬草ですぐ治りますよ!
切り傷?ヤケド?ええ、これをどうぞ
すみません、蔵馬さん。ありがとうございます
いいえ、雪の精の様に白い雪菜ちゃんの肌に傷が残るのは嫌ですから
…あ、あの、蔵馬さんも、おキレイですよ
ゆ、雪菜さん!じゃあ、帰りますか!
あ、でも、蔵馬さんに何もお礼を…
いいですよ、気にしな…あ、じゃあ、雪菜ちゃんから飛影に言ってもらえませんか?
え?


「あなたの大事な妹さんの肌を守ったんですよ?」
「…やめろ。気持ち悪い」
「笑顔でいると得なんですよ?現に雪菜ちゃんだって飛影に家に来るように伝えて」
「雪菜を利用するな!!」


部屋、蔵馬の
ベッド、一人暮らしのダブルの意味
後ろから、ずっと蔵馬に包まれて


「…しますよ、利用。それが嫌なら、俺といてください。俺は飛影といたい。かわいい飛影と」
「お前と並んでどうやったら俺がかわいいことになるんだ!!雪菜だってお前を」
「だから何ですか?飛影の妹だからやさしくしてるだけです。雪菜ちゃんが俺を少しでもいいと思うのが気に入らないんですか?俺は飛影が妹馬鹿なのが気に入らない」


…妹バカ?
こいつは今、全否定したな
命も、人生も、生きてる俺を
すべてを否定したなくそ性悪狐


「気に入らない奴を愛でても仕方がないだろ。他の奴」
「飛影はどうなんです?」


もう、今日の雪菜の料理分は払ったつもりなんだが
百足に帰るから掴んだ手を放してほしいってか離せ馬鹿…俺に馬鹿


「俺の顔、好きですか?」


嫌いな奴なんて、いるのか?


「どういう顔が好きなんですか、幽助?桑原くんですか?」
「ふざけろ」


幽助はともかく何でお前があいつより顔で下になるんだ


「顔じゃないってことですか?もっと嫌いなところがあるんですか?」


何でないと思えるかが不思議でならないが
呆れ返る
深く溜め息を吐くと、蔵馬は嗚咽を漏らした


「…?」
「…っ、飛影って、困った顔もすっ……………ごーくかわいいですね…っ!!」


はぁあ?
怪訝に眉を顰めたら、また目に涙を溜めて身悶えた

俺に末期か…この馬鹿は





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