煙草を吸う姿が好きだった眠れない夜に飲む薬あたしに名前を付けてくださいお前らが愛にかまけるその隙に偽りのキス




「よお」

落ち合い場所にフィンクスが煙草を吸って先にいた
すぐ地面に落として踏み潰し、飲み屋を二つ挟んであるホテルに入った

「煙草吸うんだ」

上半身を脱ぎながら、もうベルトを外す途中のフィンクスに訊いた

「ああ、たまにな」

吸ってそうっちゃ吸ってそうだし、こんなに育ってたら体の心配はない

「吸うとこ初めて見た。すげえ格好良い」
「家の奴ら吸わねえのか。珍しそうだな」
「次男は吸うけど、カッコつかねえし」
「何だよ。俺だからってことか?」

いい気分に口角が上がって、キスごと体をベッドに倒される

だってイル兄が吸ってるのを見たのは一回だけ
また何回も見たくても、その姿は二度と見れなかった

好きになるくらい格好良かったイル兄と、次はいつ会うかも分からない



*****



「今日はもう出来ないよ」

寝れないからしごいてくれと頼んだら、却下

「ミルキとゲームでもしたら?」
「気分じゃない」

DVD、お菓子も微妙
丁度良く体が温かくて、テンションが高くて

「媚薬、飲む」
「え?そしたら、キル」
「…イル兄と朝までコースだね」



*****



「名前って、いらないんだよ。価値があって初めて意味を為すから。ブランドってそう言うことだよ」
「名前が売れてる一流の暗殺一家の長男じゃんか」
「ヒソカもブランドだよ。ただの奴らは番号でいいけど、大変だからさ」



「イルミとの用事は済んだのか」
「とても麗しい兄弟愛を見せつけてもらったよ」
「羨ましいな。お陰でお前を倒す準備は整った訳だ」
「僕は愛より君と遊ぶ悦びがいいよ」



*****



兄貴は嘘でも俺をかわいくないと言わない
つく必要、言う理由は?
その嘘一回分を惜しむくらいかわいいを言いたい

額にキスをしない、頬にキスをしない
手にキスをする、唇に唇を落とす

かわいいが魂の本音と共に、キスこそは偽りの紛い物と分かる

かわいいお姫様にやる気を口移して人を殺させる王子様はいないんだから







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