手首の傷跡ごと、私を愛せるの?そんなに泣きじゃくるほどの事でもないずいぶんと気味の悪い幸せだ水面下でのた打ち回るくらやみ君の薄い皮ふを剥がせば本当の君に出逢えるの?どしゃ降りの中僕は考えたんだ。今日君が来なかった理由とか、今頃君は何してるんだろうかとか、そういえば君って………とか。君に逢えない夜は不安でたまらない僕には貴女のことを考える時間が少なすぎるその声以外は何も耳にしたくないと思った




「嘘言わないでよ…そんな訳ないじゃん、そんな訳ないじゃんかあっ!!」
「うそじゃないよ。全く気になんないけどね」
「…何で?何で…イル兄は…俺がこんなでも…」



キルアはリストカットが趣味
たのしいし、気持ちいいらしい
俺は特にはハマれない
キルアを見てるとたのしいし、気持ちいいから趣味にもならない



「キルア…いいの?」

リストカットキルアを気にしなかったら、キルアに気に入られた

「…好きに、して」
「キルア」

今更リストの傷気にしたところで、傷だらけの治りかけの体は最高に白い
リストカットよりは初セックスは痛いだろうけど、拷問されてて今更痛いも何も
肌と肌が触れ合うからあったかいし、脚を広げて待つキルアがとにかくかわいい

いきなり突っ込む訳でもないんだけど

「…イル…兄…」

俺が気持ち良過ぎて、キルアに悪いくらいに幸せだなあ



「毎日死んでんだよなー」
「そうだね」

地球上の何かは必ず

「苦しまずに死にてー」
「そうだねー」

誰も助けてくれない?
お前に価値がないんだよ

「迷惑な奴だけ死ねよ」
「本当だねー」

でも、なかなかそうはいかない
そういう命がいくつも存在して今日も泣いている
ブサイクー



「イル兄って何考えてんの?」
「?キルアのこと」
「本当に考えてんの?」
「何で疑うの?分かるでしょ?足りてない?」
「…本当は何考えてんの」
「だから、キルアのこと以外考えたくないって」



来ない
来ない
…来ないなあ
約束
約束したのに
…ひどい
ひどいよ、イルミ
かわいい弟とデートとは聞いてたけど、来ないなんてひどい
どうせ弟をイルミのベッドテクでよがらせてるんだ、ひどい
イルミは弟とは寝るんだね、弟とだけ寝るんだね、だって、弟のかわいさおかしいし…イルミと弟は…
あれ、キルアって………



『何』
「え?別にぃ」
『ふーん』

気づいて気づいて気づいて
こんなにぐちゃぐちゃな髪
めちゃくちゃに荒れた部屋
ボロボロに掻き毟った皮膚

『切っていい?』

ああ、ああ、ああっ!!!
イルミイルミイルミイルミ
気づいて気づいて気づいて

─ッ─

こんなにこんなにこんなに
辛いし苦しいし勃起してる

夜でもイルミに伝わらない



「イル兄の謎を解きたい」
「俺のことそんなに好き?」
「なっ、何言って」
「キルアも謎だよ。俺好きなのバレてないと思ってるとか、かわいさが謎」
「っ分かんねえんだもん!考えても考えても、イル兄何考えてるか分かんない!!俺好きとか、嘘っぽい!!」
「欲張りさんだね。普通は嫌われるよ。キルアだから好きー」



「キルア」

鼓膜が震えた、当たり前だ
兄貴が俺を呼んだ、感じた

「キル?」

異様に動く心臓
スキップする脳みそ

「どうしたの」
「イル兄ってさ、」

俺のことやさしく呼ぶよな、好きなの?

愛しか伝わらない声しか聴きたくない
見た目もやべーけど






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