手首の傷跡ごと、私を愛せるの?そんなに泣きじゃくるほどの事でもないずいぶんと気味の悪い幸せだ彼女はその細く小さな身体からは想像も出来ない程の力で俺の首を絞めた恋って、本能的に殺してしまいたいって思う事だろう?




「キルアのそれは、自分でか?」

散々ガキとバカにしたモラウが、俺の身分に気づいて質問

「自傷っぽいのは全部俺。加減が意外と難しい」

しゃきん、久しぶりに右手をかざして見せた

「病んでんなあ」
「でも、抱けるだろ?クモの一人と仲良いの」
「…うえー」

これ以上、これどころじゃないとこも愛してくれるのも、一人



*****



キルアが最近泣くからさ、どうしてかなあ

「…さみしい」

考える暇なく、天空闘技場へ

「友達になってよー」

どこに落ちてた単語だよ、いらないでしょ
俺はともかく、父さんこそ本当に誰もいない
あ、母さんがいる

キルアもミルキで

「イル兄ぃ!!キルアが俺とママ刺して出てった!!」

あれー
カルトもいるのに

はいはい、家に戻って戻って
あれー、また出てった、父さんー

天空闘技場でも裏の仕事
クモに捕まっても平気
ゲームの中でもどんなにセンスって使って褒められてんだ

蟻に関わってる間中泣いてて
友達がいても泣く、兄弟を思い出したところで泣く

泣き過ぎてて、ちょっと嫌いになっちゃった

友達、兄弟、家族
何がいても泣くんじゃん
キルアはどうやったってさみしいんでしょ?

だから俺はずっとなぐさめてる
頭をなでて、抱きしめて
俺なりにいっしょうけんめいやさしく抱いている

もうちょっとやさしくがいいの?
頑張ってるんだよ、せめて体を満たそうと

努力が伝わらないとなると、俺の方が泣きたいよ



*****



「え?子供?」
「…そうなの、イルミさん、私幸せ…」

訪れる仕事場毎に宿泊先がある
用意してくれるのは外でごはんを食べてると声をかけて来る女
おかげで今となっては、いつ来ますか?また来られる時にはご飯作って待ってます、外食もいらなくなった

ここへは出張か何かで?
いや、依頼受けたから
依頼…?
あ、でも、出張かな?暗殺頼まれて来て、2、3日いるんだけど
…私も殺されますか?
何で?頼まれてないけど。死にたかったらお金もらうけど、大金だよ、多分

「ふーん。生むの?」
「結婚も、生活費も…何もいらないから…いいですか?」
「うん。家とか家族に迷惑かけなきゃいいよ。あ、15億渡しておいたら心配ないかな」
「…いらないです、イルミさん」



「3、年前位の話かな」
「もう生きてないんでしょ?」
「うん」
「依頼人誰だったの?」
「分かんない。ただリストに入ってて、行ったらその女だった」
「名前くらいさあ」
「興味ないんだもん」
「ずいぶんと…」
「ごめんね。気持ち悪い話して」



*****



帰っても、キルがいない
いつもいない、今日もいない

ミルキがいる
カルトがいる

キルがいない

ミルキの部屋に行ってみた
キルがいない
漫画もゲームもお菓子もたべてない
キルアがいない

カルトが部屋に来た
キルがいないけど、訓練してみた

「キルがいないんだから、もっと力を込めて絞めて、カルト」

もう一回
でも、キルはいない



*****



「きみのことが好きだから、僕はいつでもきみを殺したいんだ」
「そう」

ステキな反応、その体
意外とかわいい、究極のブラコン

イルミが好き
クロロが好き
マチが好き
ゴンが好き
キルアが好き
クラピカが好き
レオリオが好き

いろいろいっぱいみんな好き

「でも、僕恋多き男だからー、傷付けたらごめんね?」
「殺したいんだよね?だったら恋じゃなくて愛か憎悪じゃない?」
「…あー、ああっ、すごいねっ!!」





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