口内炎痛いからディープは駄目ファーストキスは甘くない綺麗な物を汚した時の、あの感じ猛毒薔薇の蜜でエイプリルフールの告白
「…あ、痛い…」
「え?」
イル兄の舌を受けて、うつむいてしまった
「…口ん中、出来てる」
「口内炎?」
食べ過ぎたのか、お菓子
ストレス、そんなに感じていたのか
「…ディープは、だめ…」
「残念。でも、」
「っあ!」
「良かった。こっちはいつもみたいに気持ち良いんだ」
兄貴の浮気を疑って出来た口内炎
自分は浮気してない証拠に下は無事
「…そっちはディープにしていいよ…」
むしろ、しろ
*****
唇が離れた後、眉間に皺が寄った
「…兄貴…何食べたん」
「うそ。おいしくない?」
口臭ケアを怠われた方がマシだった
歯磨きの回数が異様に多い俺は放っといてくれ
「…何、これ、何味?」
「キルがいつも食べてるお菓子の、母さんの出身地の限定品なんだけど」
「…この地域の奴と関わりたくない…まっずー」
*****
「弟、かわい過ぎて意味分かんない」
「イルミと似てるの?」
「あー…みんな、猫目?」
「キツイ感じなんだ」
「でも、かわいいよ。かわいいの」
こいつにあんまり力説するのも危ないんだけど、かわいいんだもん
キル、かわいいキル
かわい過ぎるキル、かわいい
「やってるんだよね?」
「やってるよ」
当然
もちろん
何を言ってんのさ
「あんまりかわいくて手は出せないのかなって。そんなことはなかったか」
「?かわいいものは犯してなんぼでしょ。キルも悦ぶあの感じだよ」
*****
毒殺
毒殺
「お前の体液くれよ」
「…血?落ちてるのデータにしろよ」
「すげえ薬作るんだよ。それじゃ弱ぇ」
秒殺
瞬殺
「…唾液?」
「お前も殺したいなら協力しろよ」
即効性
速効性
「…涙。汗…」
「出ねえだろ。溜まってんだから出して預けろ」
「…盗撮野郎だー」
持続性の猛毒作ってやるんだから文句なんかねえはずだけど?
*****
「イル兄」
「ん?」
「だいすき。ちょーだいすき、すげー好きっ」
にこにこ
飛びっきりの笑顔で
本当だぜ
にっこり
「うれしー。かわいい。キル、だいすき。本当すき」
うん
うん、うん
兄貴もこのくらいのユーモアはあったんだ
何言ってんの?
あ、エイプリルフールか
って返しじゃなくて…うれしいよ、むなしいけど、うれしいすごく
「まだ朝だけど、大丈夫?」
「ん?」
「訓練前の方がいいけど、キルが辛いね」
「え?」
「でも、夜まで待てない。キル、かわい過ぎた」
「ちょ、っと、?」
背中を壁に、顔にはやたらイル兄の髪が当たる
いい香り、服越しの体もな
え、え、え?
エイプリル
エイプリルフールは?
「イル、イル兄、今日、エイプリルフール、」
「エイプリルフール?って、何それ」
「………ウソだろ?」
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