↓続き
 2012/03/17

気持ちを吐き出して気付いた。

(結局…体だけでもとは割り切れてなかったのか…)

さっきはもし拒絶されたとしても今は繋がれればそれでいいと、少しでも意識を向けてもらえれば後は時間をかけていけばいいと思っていたのだが。どうやら自分は自分で思っている程忍耐強くなかったらしい。

「フ、フフフ………どこまで女々しいんだか…」

「キルネンコ…?」

急に怒鳴ったり笑ったりしている自分はカンシュコフからしたら気が触れてしまったように見えているだろう。

止まらない涙はそのままに顔を近付けた。

「…俺は、どうしようもない位アンタに惚れてるみたいだ………なぁ教えて?何で、止めるんだ?」

じっと見つめて待つ。
一度蒼の瞳が金の睫毛に覆われ、ゆっくり現れた。

「………、から……った…」

「?」

声が小さ過ぎて聴こえない。首を傾げると耳まで真っ赤に染めてもう一度言った。

「だから、お前あんまり綺麗だから…手出したら壊しそうで怖かったんだよ…!」

「………はぁ?!」

思わず素っ頓狂な声が出る。

どこまでヘタレなんだこの三十路は。

頬を摘んで引き伸ばした。

「…俺の悩んだ時間と労力を返せ」

「ッい…いてて!悪かったって…ッまさか迫ってこられるとは思ってなかったんだよ!」

「さっさと言えば良かったろキングオブヘタレ。カウントダウンして時間やったのに…」

「アホか…ずっと触れたかった奴にいきなりあんな所触られて、言葉まとまるかよ…!」

呆れた。馬鹿みてぇ。

溜め息混じりに枕元に手を伸ばす。そこにあったピルケースから薬を一つ口に含み、溶けきる前にカンシュコフの口へ流し込んだ。

「ン…ッ」

「ハ、ァ………解毒剤だ。これも即効性だからもう体動くだろ」

結合部を刺激するよう腰をゆっくり動かす。

グチュ、と粘着質な水音が響きカンシュコフの体が今まで以上に跳ねた。

「う…!」

「ほら、な…ッ…!」

「…ッキルネンコ…!」

肘をつき、カンシュコフが上体を起こす。伴ってナカで擦れる場所が変わり息が詰まった。

「ッんあ、あぁ…ッ」

腰に手が添えられ、かと思ったら視界が反転してカンシュコフと天蓋が映る。

その蒼は、肉食獣のようにギラついていた。
初めて見た彼の欲に背中が震える。
口端が吊り上がる。


この瞳を望んでいた。


「…壊したら、ごめん…」

それでも微かに見せる躊躇いを払拭してやるため挑発的に笑う。

「ハッ…!そう簡単に壊れるかよ………殺す気で来い」

それを合図にカンシュコフはそれこそ獣のようにキルネンコに覆い被さりナカを無遠慮に擦った。

 ズッ‥グチャ、グチュッ

「ッあ、ぁ…ハァ…ァッ!うぁ、く………痛…い…!」

前戯も十分でなかったせいで、突然の激しい動きに耐えきれず入口が裂け、痛みを訴える。
それでも動きを緩める事なく、寧ろ更に激しく突き込むカンシュコフ。

ボタボタと結合部から血が零れ落ちた。

シーツを握り締め痛みに耐える。

「く…ぅ………!ぃ、た…あ、ぁ、ぁ…ッ」

揶揄ではなく、本当に殺されるのではと思った。

だが。

「ッ?!ア、アアアァッ!」

男根がナカのしこりのような部分を掠めた途端体が痛み以外に震える。

間違いない、誤魔化しようのない快感。

カンシュコフもキルネンコの変化に気付いたのか、低い声で笑った。

「…見つけた」

グイ、と片足を担がれさっき掠めた一点を集中的に擦り始める。

狂いそうな程の強過ぎる快感に呼吸すらままならない。
顔の横に突かれた腕に縋りついた。

「ッア、ア………ッそ、こ…いやだっ…やだ…ヒ、アアアァーーッ」

応えるように指を絡められ、顔を近付けられる。
余裕のない蒼に映る自分は真っ赤な顔で瞳を蕩けさせ、涙と涎と汗でグチャグチャで、長めの髪も相まって女性のようだった。

どちらからともなく唇を重ね、舌を絡める。

「ふ、ぁ…ぁん…ッ」

「ン…ッ」

肌のぶつかる音、結合部が立てる粘着質な水音、嬌声。
どれもお互いを昂ぶらせる媚薬となり、行為が激しさを増した。

「…ふ、あ…あぁ…あ…ひうっ…!」

「ハ、ァ………ッキル…名前…!名前、呼んで、くれ…」

理性の飛んでいる中、ふと聞こえたカンシュコフの声にキルネンコは蕩けきった瞳を向ける。
殆ど意味を成さない嬌声しか上げられない喉で、舌で発音した。

「あ、ア…ッ!カン、シュコフ…」

「違う…!本名、だ…!」

「ッハァ…ッ………ウ、ラディスラフ…ラディ…!ッアァ!!」

呼んだ途端ナカで質量を増すカンシュコフの自身に、体が悦び跳ねる。

きつく抱き締められた。

「もっと…ッ呼んでくれ………!」

「ラディ…ッラ、ディ…ッア………!」

動きが激しく大きくなり、やがて入口ギリギリまで引き抜かれて一旦止まった。

「?」

見上げると、ふわり愛おしげに微笑まれる。

「―――愛してる」


 ズチュッ


「ッアァアアアァーーー!!」

ナカに熱い飛沫が叩きつけられるのを感じながら、キルネンコの意識は暗転した。










‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥










「――…ル…キル………キルネンコ…」

優しく呼ばれる声に、沈んでいた意識が浮上する。
ゆっくり瞼を上げると柔らかなオレンジ色の光が差し込む部屋と、同じく照らされる金色が視界に飛び込んできた。

「…おはよう」

「………、ぁ…」

喉が引きつって上手く声が出ない。喘ぎ過ぎたようだ。

金色が苦笑して頭を撫でた。

「ごめんな…無茶した。だから言ったろ…?壊すって」

「………」

「喋るな、辛いだろ?あ、それとも水欲しいか?」

小さく頷く。
ベッドサイドに置かれたコップを手に取り、覗き込まれた。

「…起こすか?」

「………」

返事の代わりに指で自分の唇を指した。
すると僅かに赤くなり逡巡する辺り、まだまだヘタレだと思う。

頭をガシガシと掻いて、溜め息を吐いた。

「分かったよ…」

コップの水を口に含み、唇を重ねられる。
ゆっくり移される水分を喉を鳴らして嚥下した。

なくなると、リップ音と共に離れる唇。
喉の引きつった感じが和らぐ。

「ラディ…」

「ん?」

そっと手を握り、微笑んだ。

「俺も…愛してる」










‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥










『ハァ?!当分来るなってどういう事だよ!』

一週間後の電話。電子音を伴ってカンシュコフが怒鳴る。
書類にサインしながら言った。

「そのまんまの意味だ。来るな、後電話も週一でいい」

『ふざけんな、理由説明しろ!』

「理由?んなもん決まってんだろ、お預けだ。腰もケツも痛ぇんだよ」

『ッ半分は自分でやったんじゃねぇか…』

「五月蝿い」

『ハァ…先週はあんなに可愛かったのにな…』

「じゃあ切るぞ」

『待てよオイ!当分ってどの位だよ!』

「………ラディが足りなくなったら俺から呼ぶ」

『………ッ!』

「じゃあな、精々その時までそのヘタレ直しておくんだな」

『てめ………』

「愛してる」

『…は?』

「じゃあそういう事だから。楽しみにしてるぜ?」


 ガチャ


受話器を置き、何事もなかったかのように仕事を続ける。

ただし、その表情は幸せそうな笑顔。



「本当に…楽しみにしてるから」


















襲い受って何ぞや、と思ってたらできちゃいました。ツンデレ乙女んキルネンコ、キングオブヘタレ兄貴カンシュコフ。
まさかのフリー小説の続きやっちまったゼ!!とても追加フリーにします☆とか言えない内容で…(汗)

もう、ね。やりたい事ごちゃごちゃつめたらこんな長さに。チョーかおすです。
だが楽しかったです。ヒジョーに楽しかったです。ええ、ヒジョーに…!!

需要?知らん知らん、誰が見たがるんだ看桃なんてマイナーCPとか今あとがき書きながら気付いたけどもうできちゃいましたし(笑)

だがしかし!!ここまで読んだ貴女!!さては看桃に興味ありましたねそうでしょういや是非そうであったと信じたい!!(希望的観測)

…何が言いたいって誰か俺に看桃をくれと言いたいだけですハイ。


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