「はぁ?お前みてーなデブス、誰が相手にするかよ」
中学生の頃、好きな人に告白して返ってきた返事がこれだ。そりゃ、いい返事を貰えるとは思ってなかったけれど、こんな辛辣なことを言われるとも思ってなかった。
私は傷付いて、悔しくて悔しくて、いつかこいつを見返してやるって誓ったのだ。中学時代は、綺麗に、可愛くなるための努力を惜しまなかった。そして私は、あいつに、あの時振ったことを後悔させるまでの容姿になった………はずだ。
久しぶりに会った彼には、中学時代の面影など、残っていなかった。唯一上げるとすれば、目つきの悪さくらい。
『…ひさ、しぶり……です』
「……………?」
彼は私のことなど覚えていないようだった。それもそのはず、私にも中学時代の面影なんて、これっぽっちも残っていないのだから。友達にも整形した?って聞かれるくらいの変わりようだからね。断じてしてません。
「どっかで会ったことあったか?それか、前振った女か?」
二つとも正解。だけど彼は、私のことあのデブスだとは思ってないんだろうね。付き合ってたけど振った女、とでも思っているのか。
『苗字名前って、覚えてない?』
「苗字?……覚えてねぇな。お前みたいないい女、忘れるはずないんだけどな」
いい女。今この男はそう言った。これだ。私は散々な振られ方をしてから、ずっとこの時を待っていたのだ。
『ねぇ。私、可愛い?綺麗?』
「あ?んだそれ。…まぁ、可愛いし綺麗だよ」
笑みが零れる。
「なぁ…俺と付き合わねぇ?」
『…どうして?』
「今彼女いねーんだよ。この前振られてよ。お前みたいなだったら大歓迎だぜ。どうだ?俺の女にならねぇか?」
『…………あは』
今まで、頑張ってきた甲斐があったなぁ。
『あは、あははは!』
「…?何笑ってんだよ」
『灰崎くん、君は私に言ったんだよ。お前みたいなデブス、誰が相手にするかって。おぼえてる?苗字名前!あのデブでブスな苗字名前だよ、私は!』
「…………はぁ!?」
信じられない物を見るような目で、灰崎は私を見た。頭の天辺から、爪先まで、隅々。
「おま…まじかよ、整形でもしたか?」
『失礼な。これは、私の中学時代の努力の結晶よ!』
言われると思った。灰崎に振られていくら悔しかったからと言って、整形してしまったら負けだと思ったから、そんなことはしなかった。
「……なぁ。あん時は、俺が悪かった。まさかこんな美人になるなんてな。……俺と、付き合ってくれ」
遂にこの時がきた。そして私は、言ってやった。
『誰がお前みたいなドレッドヘアー、相手にするかよ!!』
悪童の如く、私はそう言い放った。
大嫌いになったのは君を大好きだったから
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星様へ
灰崎リクエスト頂きまして、甘い展開は期待できないな、と思い、こっぴどく振られていただきました。こんなので申し訳ありません。
リクエストありがとうございました!
title_毒林檎
140428
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