浮気しない男はいない。
某テレビ番組でそう言っていた。本当にそうであれば、私にとっては一大事だ。なぜなら、私にはお付き合いしている男性がいる、から。


『……』


携帯を眺め、電話をしようか、メールをしようか悩む。
そもそも、電話をして、メールをして何をするの。浮気してるの?って聞くのか。束縛の激しい彼女だな、とか思われて終わりだろうな。馬鹿馬鹿しい、やめよう。


<断言します。浮気のしない男はいません!>


テレビから流れてきたこの言葉に、また連絡をとろうとしている自分がいる。断言しないでよ、私優柔不断なんだから。


『……ちょっとだけなら』


いい、かな。
そう、自分に言い訳をし、電話をするかメールをするかでまた悩む。
結局、直接電話をする勇気がなかったため、メールをすることにした。
題名は無し。本文は、ちょっと聞いてもいい?
送信。ああ、送ってしまった。

一分もしないでメール受信音。早すぎる。

本文:どうした?

うん。そんなに、対したことじゃないんだけどね。くだらないことなんだけどね。

本文:浮気、してる…?

いきなりこんなの、彼に失礼すぎるよね。でも、この質問をどうやってオブラートに包むかなんて知らない。少し迷って、送信。送ってから後悔の波が押し寄せる。
これで、鬱陶しい女だと思われたらどうしよう。浮気してなくても別れ話切り出されちゃうかな。

携帯が、震えた。着信音。


『えっ…』


まさか電話がくるとは思ってなかった私は動揺した。どうしようどうしよう。しかしでないわけにもいかず。


『も、もしもし…?』

《いきなりどうしたんだ?》

『いや、別に…なんてことないんだけど』


ごめん。とりあえず一言謝っておく。彼はあの言葉を見て、何を思っただろうか。


《なんてことないなんて嘘だろ。なにもなかったら、そんなこと言わない》


まあ、うん。なにかあったんだけど。テレビ見てて思ったとか、言ってもいいものなのかな。


《言ってみ?》

『て、テレビ見てて…。浮気しない男はいないって、言ってたから。…ごめん』

《…ふぅん》


暫く沈黙が続いた。えっと…私はどうすればいいの?


《名前はさ、》


私が沈黙に耐えられなくなり口を開こうとしたら、霧野くんの方から話始めてくれた。


《俺が浮気するような男に見えるわけ?》

『みっ、見えません!!』

《ん。ならいいじゃん。俺、名前以外好きになれないし》

『霧野くん…』


ごめんね、本当にごめんね、こんな話して。


純粋な作為で恋してた



(あ、俺を信じれなかった罰として明日お仕置きな)(え)

-----

霧野甘ということでしたが、微甘かもしれません。

リクエストありがとうございました!

title_確かに恋だった

121222

[*前へ] [#次へ]

戻る
リゼ