囁く
竜持
僕の隣ですやすやと寝息をたてて眠るのは隣の家の名前さん。毎日僕たちの家に遊びにきては必ずと言っていいほど寝ていく。そんなに眠いのだったら家に帰ればいいのにと思うが、帰ってほしくないというのが本音。かといっていつまでも寝てもらっては此方がつまらない。
「名前さん、起きてください」
『ん…ぅ』
肩を揺すって起こそうと試みるが相当熟睡しているようで起きる気配を見せない。
「…はぁ。なんで起きないんですか」
せめて僕の肩に寄りかかって眠るのをやめてほしい。これでは動けない。試しに耳に息を吹きかけてみる。
『ひゃっ!?』
あ、起きた。
「おはようございます、名前さん」
『え、え…竜持くん?…おはよう』
いまいち状況を把握できていないのか、周りをキョロキョロ見回して僕の顔を見る。
「また寝てたんですからね、名前さん」
『あ、そうなの?なんかごめん』
「まぁでも、いいもの見れましたし」
『いいもの?』
そう言って首を傾げる名前さんに、耳元で言ってやった。
「寝顔、可愛かったですよ」
そうすれば、名前さんは顔を真っ赤にした。
囁く
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銀オフ
120616
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