花咲様より

私には、幼馴染みがいる。
ノノハとカイトくん。
二人は今でも私の大切な人だ。

だけど、いつからか私は二人といるのがとても辛くなっていった。…原因はわかっている。
私が、幼馴染みとしてではなく彼を…カイトくんを好きになってしまったからだ。
だが、カイトくんはノノハが好きでノノハはカイトくんが好き…だと思う。
いつも二人は優しくて…だけどいつでも私は二人の中に入れなかった。

だから、私はカイトくんとノノハから…離れた。


「よお」

『…カイトくん、』


はずなのに、彼はなぜか今私の目の前にいる。


「久しぶりだな」

『う、うん』

「今帰りだよな?」

『そうだけど…』

「少し、話さねぇか?」

『え』


カイトくんの突然の誘いに思わず戸惑う。
そんな私を無視してカイトくんは私の手を掴んだ。


「ほら、行くぞ。」

『ちょ、カイトくん…!?』


うんともすんとも言ってないが結局私はカイトくんの誘いを断ることなんて出来ないのだった。

着いた先は公園だった。
ここは昔よくカイトくんとノノハと遊んだ公園だ。いつもは子供が遊んでいるのに今は誰もいなかった。


「懐かしいなこの公園」

『そうだね…』

「お前、よく転んでいつも泥まみれになってたよな!」

『そ、それはカイトくんがいつもミミズとかバッタとかもって追いかけてくるからでしょ!!』

「…そうだったか?」

『そうだよ!』

「ぷ、ははは!!悪かったって!」

『もう…!』

「なぁ、俺さお前になんかしたか?」


なんで、カイトくんがそんなことを…
カイトくんの言葉はまだ続いた。


「どうして俺たちを避けるんだ。」

『…』


カイトくんの顔は真剣そのものだった。


『別に、避けてなんか』

「避けてるだろ。俺がなにかしたんなら言ってくれ。」

『…カイトくんは何もしてない。ただ、私が…』

「お前が?」

『……』


なかなか話さない私にカイトくんは首を傾げた。
心配そうに私を見るカイトくんに私は揺らいでしまう。
もう、やめてほしい。そんな顔で見ないでほしい。


「名前なにがあったんだ。」

『……つらいの』

「つらい?」

『みんなといるのがつらいの』

「どうして…」

『カイトくんが好きだから』

「……え」


そうこれでいいのだ。
幼馴染みの関係もこれで終わる。
私は二人と一緒にいないほうがいい。

私はただの邪魔者だから。


『カイトくんがノノハを好きなのはわかってる』

「…」

『、さよなら』

「ちょっと待て。」


ガシッとさっきにみたいに手を掴まれる。
引き止められるとは思ってなかったので驚いた。
そんな私を見てカイトくんはため息をついた。


「やっと名前が俺たちを避けてる理由がわかったよ。
…お前、バカだな」

『んなっ!バカって…!』

「俺が好きなのは昔も今もお前だよ、名前」


は?カイトくんが、私を、好き?


『嘘はやめてよ!カイトくんが好きなのはノノハでしょ!?』

「そんなの誰が言ったんだよ!」

『だって、どうみたって…!』

「お前、もう黙れ。」


そう言うのと同時に突如私の唇はカイトくんによって奪われた。
な、な、な、これって!!


『キス!?』

「そうだな。」

『そうだなじゃないわよバカ!!』


(小さい頃、お前ばかり追いかけてたのは)

(名前が好きだったからってことをあいつはまるで気づいてないんだろうな)






END

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