翌朝、徹夜で終わらせた課題を「どうだー!」と、ドヤ顔で見せた。

するとどうだろうか、秀次に熱があるのかと心配されるわ、先生には「明日雨が降る」と言われるわ、咲羅は散々な思いをする羽目となった。

そして次の日に実際に雨が降った。雪じゃないから十分にあり得たけどさ。もしかして雪が降るって言われたら雪が降ったのだろうか。いやいやそれは置いとくとして……


「……課題ちゃんと提出したからってさぁ……みんなしてちょっと酷くない?」


確かにいつもはやってないけど。ペンをくるくる回しながらぼそりと呟く。数回回ってから床に落ちた。あーあシャーペンの芯折れてる。


「日頃の行いが悪いからだろ」

「課題溜めてるしなー」

「うるさい。つか、あんたらが言うな」


学校で米屋も公平も提出物を出してなくて怒られてたって聞きましたけど?しかも今日。


今日は三輪隊が夜からの防衛任務だから、本部に集まってテストに向けた勉強会中。名ばかり勉強会には、おそらくならないだろうから大丈夫だ。

せめて赤点だけは、回避したい。もし補修が入るとその分ランク戦とかが出来ない。だから勉強しないとマズイの事をよくわかってる。一応わかってはいる…


「全然解んないよ…」

「全部わかんないの間違いじゃなく?」

「いや私、数学だけは出来てるし」


古典が全くわかりませんのよ。特に漢文なんてただの暗号でしょ?現代文は理解出来なくもないんだけど。


「もう嫌だ。今すぐ帰りたい…なんで古典やんなきゃいけないのさ…」

「数学の方がやる意味わかんねーって」

「数学は楽しいからいいの!」

「………楽しいか?」


誰もが一度は言い出す様々な教科を学ぶ理由、その議論(?)をしていた咲羅達の声は思いの外大きかったらしい。


「お前達声が大きい。アホ声が向こうまで聞こえたぞ」

「アホ声ってひどくない?…」

「事実だろ」


戻ってくるなり辛辣な一言。いつもの事だから慣れてるけど。

………そういや、お腹空いたなぁ


「あっ!奈良坂と古寺だ。久しぶりだね」

「咲羅先輩こんにちは」

「久しぶりってほどでもないと思うけど?」


2人も一緒って事はもう時間なのか。時計が無いことは、もちろん窓が無いため外の明るさで判断も出来ない。時間の感覚が、おかしくなる。


ぐ――――――


「「「……………」」」

「……盛大に鳴ったな」

「うぅ…私だ…//」


それでも体内時計は正常に動いているのか、お腹が鳴った。正直かなり恥ずかしい。

そうだ帰りにファミレス寄ろうかな。期間限定の新メニューが出ているかも。

現実逃避する事によって、咲羅の頭の中が食べ物で埋まっていった。


「時間だし行くか」

「ああ、そうだな」

「みんな頑張れ〜!よしっ帰ろっか!」

「切り替え早いな」


また明日〜と手を振った咲羅にすかさず、三輪と奈良坂がツッコミを入れる。


「「ちゃんと勉強しろよ!」」

「わかってるってば!!」


さながら宿題をやらない子どもに対する母親の様だと思ったが、誰も何も言わない。

結局勉強をせず、翌朝怒られるのだった…


――テストまであと5日――

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