昨日の雨が嘘みたいに晴れている。

何で急に昼ご飯を屋上で食べようって話になったんだっけ?たまには外でご飯食べようって事になったからか。言い出しっぺ誰だ?あ、私か。


「つか予定してた人数よりも人増えてるよね?」


咲羅と米屋が飲み物を買いに行くまでは3人だったはずなのに。いつの間にか佐鳥と烏丸が増えていて、今の屋上は5人の貸切状態だった。


「咲羅先輩ー」

「お、佐鳥ととりまるも来たんだ」


先に言っておくけどジュースは無いぞー。
えーっ!
えーっ!じゃないよ何考えてんだ。まったくもう。

呆れつつも輪の中に入り座る。レジャーシート持ってくるべきだったかな。雨降った後だからスカート汚れそうだし。


「並ぶとそっくりですよね先輩達。流石双子」

「そうかなー?」


佐鳥に言われ、お互い顔を見合わせる。やっぱり納得出来ない。どこが似てると言うのか。


周りをよくよく見て呟いた。


「今更だけど男ばっかだね、ここ」


だからと言ってどうって事は無い。ボーダーでも学校でも一緒にいる時間が長いから本当に今更な話だ。


「交ざってても違和感まったく無いけどな」

「ん、まぁね」

「意識するも何もそもそも女だと思ってないし」

「………後で覚えとけよ」


別に意識されたいとかじゃないけれど、私が料理得意なの忘れているだろ。まぁそれ以外が駄目だから女子力高いとは、とても言えないのだが。

とにかく模擬戦の時に切り刻んでやる!


「ところで三輪は?」

「あー…一応声かけたんだけど断られた」

「だろうな(笑)」


いやぁ即答だった。動画を撮りたくなる位面白かった。だって言い切る前に「行かない!」と断られたから。ちょっと驚いた。

今日の空には雲一つ無い。屋根の無い屋上では日当たりが良すぎる。時々吹く生ぬるい風が心地よかった。


「にしても暑くなってきたねー」


衣替えまであと少し。早く半袖解禁にならないかなぁ…クーラーに扇風機、なんといってもアイスの美味しい季節がやって来る。冬の暖房の入った部屋で食べるアイスも捨てがたいのだけど。


「夏休みになったら海行こーぜ」

「「賛成!!」」


せっかくだから大勢で行きたいけれど防衛任務の休みとか合わないだろうなぁ。


「よしっ!秀次も誘おう!」

「嫌がりそうだけどな」


うん。絶対来ないよね。今度は引っ張ってでも連れていこうか。他にも沢山の人に声をかけよう。海が無理ならプールでもいいかもしれない。

なんなら警戒区域で肝だめしなんてのはどうだろう?……提案したら相手によっては怒られる未来だけ見えた。(サイドエフェクト持ってないけど)残念。


「夏休み待ち遠しいね。じゃあ今日は、ランク戦とかして〜明日は、とりまるのバイト先押しかけて〜」

「え、」

「何飲もうカフェオレ?あ、紅茶もいいな」

「先輩、聞いてます?」


烏丸の声や笑っている米屋を積極的に無視して予定を立てていく。ちゃんと注文とかすれば問題無いでしょう?誰か一緒にどうよ?

ふと腕時計を見ると昼休みは残り10分を指していた。もうこのまま授業サボってしまいたい。


「あれ、次の授業なんだたっけ?」

「いや、クラス違うし知らねーよ」

「……うわぁっ!体育じゃん!着替えなきゃ」


それじゃ皆また後でね!と言い残して、バタンと扉が閉まる音とダンダンと階段を下りていく音が響いた。


「「「……………」」」


「……咲羅って先輩台風みたい」と、佐鳥が呟く。ここまで見事に咲羅を表す言葉は、もしかしたら他には無いかもしれない。この場にいた全員が頷いた。

さっきまで咲羅が座っていた場所には、飲みかけのジュース。また騒ぐだろうなぁ、と4人は忘れ物を届けに屋上を後にするのだった。
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