「もう!!暇すぎるよ―」


学校を休んでまで防衛任務をしているのに、よりによって本部待機。模擬戦をしようにも時間が時間なせいで相手が見つからない。

だから咲羅は微妙に不機嫌だった。そしたら2人に揃って、だったら宿題しとけと言われた。でもよく考えたら学校に置きっぱなし。宿題なんて出来るはずがない。ま、あったとしてもやらないと思う。そもそも今日提出する分を今やれと?


「よし!咲羅模擬s((」

「太刀川さんとの模擬戦とかストレス溜まるだけなんで嫌です」

「即答か」


という会話を何回か隔て、今は隊室でまったりゴロゴロタイム。本当にゴロゴロしているだけ。
柚宇さんはゲーム中でとても話しかけられないし、唯我は…何処かに行った。ついでにジュースとかを買ってきてほしいな。

そんな、やる事が無い時にどうでもいい会話をするのが人間ってもので。


「暇な時には…恋の話?」

「脈絡全く無いな!」


何で今恋の話をせねばならんの!?それ普通修学旅行とかそういう時でしょ。そこは作戦会議とかじゃないかな!? この隊の場合決めたってその通りにやらないけどさ。咲羅の心のツッコミも虚しく話は進んでいる。

なら話に入らなければいい。すぐその考えに辿り着いたものの、そう簡単にもいくわけもなくて。


「という訳で咲羅!」

「え、私?う――ん…好きな人…ねぇ………駄目だ!気になる人すら出てこないよ!」


つい答えてしまった。
仲良い人は、たくさん思いつくけど、と付け加える。

結局答えてそれから気が付いたのは、今まで自分の恋愛について考えて無かった事。別に興味が無いとかそういう訳ではなく、ただそれを考える時間が無かっただけ。漠然と付き合うんだったらボーダーの人がいいかなぁという程度。


「なんだ何も無いのかよ」

「太刀川さんノリノリか。じゃあ、あんたらこそどうなの」

「いやそれは秘密で」

「おいっ!!」


自分の話から逸らしたかったのに、結局はぐらかされて終わった。チッ。いつか絶対聞き出そう。うん、そうしよ。心の中で密かに決心した咲羅だった。







何事もなく任務時間が終わって帰ろうと外に出ると雨が降っていた。おかしい今日雨だなんて一言も…


「あ゙―――っ!!」

「何だよ急に叫んで」

「洗濯物干しっぱなし!」


もう1回洗わないといけないのか…その現実的と向き合うとなると、帰るのが憂鬱になる。


「「ドンマイ」」

「むぅ…つかドンマイじゃないよ!!はぁ…傘も持ってきてないし」


今日家に誰もいないって言ってたのに。仮にここが学校ならば家まで走って帰るが、ボーダー本部からは距離がある。しかもこの後は学校に行って少し位授業に出ようと思っていたのに。ちなみに体育だ。


「うん、仕方ないな走って行こ!」


そう1人叫べば双子の兄である公平に襟を引っ張られた。何するのさ「ぐぇっ」だなんて変な声が出たじゃんよ。


「風邪ひくぞ」

「大丈夫!馬鹿は風邪ひかないから」

「それ自分で言う事じゃねーだろ」

「だって本当に無いんだもん」

馬鹿なのは否定しない。しないよ。でも、隣で大笑いしている太刀川さんの風邪ひいた所だって私は見たこと無いからね?


「ほら」


投げつけられたのは折りたたみ傘。まったく危ないなぁもう。っていうか……


「何で2本も傘持ってんの!?」

「置きっぱなしのと持ってきたヤツ」

「マジで!?さすがっ!」


なんか誉めたらドヤ顔された。次からは、私も隊室に傘を置いておくとしよう。そういや、あそこからだと外見れないや。でも帰るまでに忘れるだろうから、また同じような事を繰り返すと思うけど。





そして家に帰ると予想通り洗濯物が散々な目に遭っていたのは、また別の話。

もう当分天気予報は信用しない!!

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