「あんた身長俺より小さいだろ」

「うっせえよ喧嘩売ってんのか男鹿」

「かわいいなって言ってんだよ」

「喧嘩売ってんじゃねーか!」

俺が気にしてることをこの一年坊は悪気なく言ってくる。

俺だって姫川や夏目のように身長180超えが夢だったがすっかり止まってしまってちっとも伸びやしない

挙げ句の果てにはこの目の前の一年坊にまで1cmだが抜かれる始末だ。
そのうえこいつは喧嘩もクソ強いときたもんだ。
ったくやってらんねえ


「………」

「なんだよすねんなよ」

「すねてねえよぼけ」

「身長小さいのいいじゃんかわいくて」

「男がかわいくてどうする!」

「俺は好きだけど?神崎くんがかわいくて」

「神崎さんだ、口には気を使え」

「わりいわりい、神崎サン?かわいいよ」

「馬鹿にしやがってくそが」

「だから馬鹿にしてねえっつの」

「じゃあなんだよ」

「ほめてんだよ」

「そうは聞こえねーなぁ」


ふざけんじゃねーぞ、かわいいだなんて褒められた気分になるわけねえだろ
けなされてるようにしか取れねーよ

男鹿は頭を傾げながら考えている様子だった。
無い脳みそで考えても一緒だろうに
真剣に考えている暇があるならヨーグルッチでも買って来いくそったれ


「好きだぜ神崎サン?」

「真剣に考えていると思えばなんだ気持ち悪い」

「気持ち悪くねーよくそ」

「気持ち悪いわ、男に言われても嬉しくねえよ」

「本当か?本当に嬉しくねえのか?」

「あっ、当たり前だ」


そう言ったら男鹿は黙って俺の手を握ってきたから振りほどこうとしたが、力では敵わずに
抱き寄せられる

一年坊のくせに、

大変不本意だがこうされると落ち着くから抵抗はしない。

「バーカ神崎サンのバーカ」

「お前が馬鹿だバーカ」

「ちっさい神崎サンかわいいよ」

「まじ黙れお前クソボケ」

「かわいいってば」


こんな風に人の心をめちゃくちゃに掻き回すからこいつはきらいなんだよ、って言い聞かせなて、
いつもここから先発展しない男鹿を感じながら心のなかで「お前こそかわいい」ってつぶやいといた


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リゼ