side:黒子
放課後の部活が終わりこの上なくバテて床に倒れ込む。
今日の練習もいつも通りにキツかった。
試合前の調整だとかでメニューは普段より軽く練習も早く終わったがキツいものはキツい。
キセキの世代なんて呼ばれる体力おばけな彼らと同じに思われたら困る。
なんたって体力なんてお母さんのお腹の中に置いてきた。
力尽きて床に伸びているのに存在感の薄さからか誰にも気付いてもらえない。
ミスディレは今は使っていないはずなのに。
もういい、僕は影だ(しょぼん)。

突然体育館の空気が変わった。
見なくても分かる。
凄いオーラを放って誰かがこの空間に入ってきた。
その空気はまるで赤司くんが現れたときのよう。

『練習お疲れ様。』
この声は!
「なまえ!どうしてこんな時間に!」
彼女も赤司だった。
花でも飛ばしていそうな柔らかい表情だがまとった空気は大人顔負け。
一瞬にして皆の目線をかっさらっていった。
『生徒会の仕事が少しあって。テツヤこれ飲む?』
「いただきます…。」
ドリンクを差し出してきたなまえさんは僕に気付いてくれたようだ、嬉しい。
今更青峰くんや桃井さんが大丈夫かなんて駆け寄って来たけど遅すぎだ。
「なまえちん何か言いたそうだねー。」
「フン!どうせ厄介なことでも持ちかけてくるのだよ。」
『真太郎言ってくれるわね。1つお願いがあって来たの。』
「お願い?」
『そう、皆じゃないとできないお願い。』
「何だ、なまえのお願いなら例え火星人を捕獲してこいと言われようが叶えてみせるよ。」
話の腰を折りかねない赤司くんはこの際シカトだ。
『皆でマジバに行きたいの。』

彼女の話はこうだった。
生徒会メンバーで作業をしながら雑談をしていたら、マジバの新しい味のシェイクが美味しいという話題になった。
皆でワイワイ話を進める中、なまえさんだけはマジバの存在を知らなかった。
知らないのも頷ける、だって彼女はお嬢様なのだから。
横で話を聞いている赤司くんもマジバというワードにピンときていないようだ。
生徒会メンバーはマジバを知らないなまえさんに、1度ぐらい皆行ったことある場所だからと行ったほうがいいよと新作シェイクの無料引換券をあげた。
その数なんと8枚。
丁度いつも過ごす皆の人数分あるではないか。
そして先程のセリフに至る。


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