21話
テスト期間も終わって通常の日常が戻って来た青葉城西高校。
朝練が終わって岩ちゃんと教室に向かっていると、廊下に人だかりができていた。

「岩ちゃーん、なんで朝からこんな騒がしいのかなー。」
「あー、あれじゃね、成績開示。」
「そろそろ貼りだされる頃か…。」

フンヌフンヌ歌いながら少し離れた学年掲示板へと向かう俺達。
上位50人が貼りだされるんだっけ。
なまえたちは4人でちゃっかり載ってるんだろうなー。
可愛い彼女の結果でも見ようかな。
なんてのんびり思いつつも。
どうにも今日はいつもより皆の視線を感じる。
何かしたっけ俺。
うーん…。
ま、及川サン人気者だから☆
「キャー及川さん来たよ!」
「カッコよくてスポーツも出来てその上頭も良いなんて!」
「ステキー!」
ほらね!
やっぱり及川サン人気者!
でもね、ナンダロウ。
空耳かな。
及川サンがカッコよくてスポーツが出来るのは当たり前。
でも、頭も良いだって?
「おまえ頭良かったのか?」
「岩ちゃんにもそう聞こえた?」
「あぁ、どうせ聞き間違いだろうけどな。」
ジト目で岩ちゃんに見られてしまうがそれもそうだろう。
だって及川サン勉強はできなくもないけど掲示板に載るほどじゃないし。

「おい及川!」
「おまえ何したんだよ。」
バタバタと前から先に戻ってたマッキーとまっつんが現れた。
「何って何さ。」
「いいから見てみろよ。」
「え、ちょ、マッキー!」
グイッと人混みに押し込められてあれよあれよと掲示板の前へ。
なまえはどこかな。
上から順番に名前を探すとまず見つけたのは2位の山本愛子。
そして続く3位にみょうじなまえ。
すげーなまえってこんな頭良いのかよ。
そのまま下がると同率12位で大石麻友と井上葵を見つけた。
4姉妹恐るべし。
なんとなく更に下へと目線を下げるとまっつんの名前も見つけた。
まっつん何気に勉強できるからなー。
「な、ビックリしただろ。」
いつの間にやら岩ちゃんたちも後ろにいて掲示板を眺めていた。
「松川はともかくまさか及川がコレに載るなんてな。」
「天変地異が起こるな、怖ぇー。」
は、どういうこと?
慌ててそのまま下へと順位を進めると。

38位 及川徹

「は、まじで?」
「及川気付いてなかったのかよ。」
「さっきまで何見てたんだ?」
「いや、なまえが3位で凄いなって。」
「あーそうでした及川クンには愛しの妹チャンがいるもんな。」
「カップル揃って掲示板入りなんてめでてーじゃねーの。」
「おめでとう及川。」
「えへへ、ありがとー皆!」
人生初の掲示板だ。
嬉しいな、躍り出しそう。

浮かれ気分で教室に向かうと5組の前で4姉妹が集まっていた。
「おはよー4姉妹!」
「なまえ!3位おめでと!」
『徹もおめでとう!』
んー!可愛い!
朝からこんな笑顔が見れて及川サン幸せ!
今日の占いは1位だったのかな!
「よー次席。」
「何よ、嬉しくないなその言い方!」
「すげーじゃん2位って。」
「さすがは4姉妹だな。」
「まーね!ところで及川はなんで急に成績上がっちゃったワケ?」
「今までおまえ100位前後ぐらいだっただろ?」
「そーなの?めっちゃ上げてきたじゃん。」
「勉強のコツは?」
皆がニヤニヤしながら興味津々とばかりにこちらを見てくる。
なんでかって?
そんなん1つしかないでしょ。
「なまえと付き合えてやる気全開だったからかな。」
ニヤリ、となまえを見ると
『〜〜〜っ!』
顔を背けて赤くなって山本チャンに抱きついてた。

結局俺らは始業の鐘が鳴るまで8人でワイワイし続けた。
成績が上がっていつものメンバーも相変わらずで。
うん!良い1日の始まりだ。
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