プロローグ
穏やかな、少し冷たい風が吹き抜ける。
季節は直に春。
鳥たちが囀り、あらゆる生命が誕生する季節である。
時は戦国。数多の武将たちが戦を繰り広げ、容易く命を散らす時代。
ここは、そんな戦をなんとか免れた小さな里である。
決して裕福とは言えない里だが、里の者は皆平和に、和やかに暮らしていた。
まるで、“あの”永きに渡り多くの犠牲を出しながら続いた戦いが、無かったかのように……。
しかし決して忘れられることはないだろう。
多くの犠牲を出し、残された者の心に深い傷を残した、あの戦いを…。
◆ ◇ ◆ ◇
あれから4年…。
奈落の邪悪な瘴気によって廃村状態となった里は、すっかり元の姿に戻っていた。
奈落との戦いで中心部にいたほとんどの者たちが、この里で暮らし生活している。
この里は妖怪に対する壁が薄いため、犬夜叉や七宝にとっても居やすい場所であった。
何より共に戦った仲間がいる。
それだけで、十分なのだった。
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