お花見






暖かな天気に恵まれ、特に暑くもなく寒くもない初春。


りんはかごめと共に、近くの川へ洗濯に来ていた。


他愛もない話に花を咲かせながら、手際良く洗濯物を片付けてゆく。




そんな時、りんの手の甲にひらひらと一枚の花びら舞い降りた。





「ん?」


りんはふとそちらに目をやると、もう片方の手でその花びらを手に取った。





「さくら…?」



手に取った桜を顔の近くまで持ってきて、まじまじと見つめてみる。





「どうかした?りんちゃん。」


りんの様子に気付いたかごめが、不思議そうに尋ねた。





「あっ…、桜の花びらが…。」


そう言いながら、かごめに花びらを見せるりん。





「桜?」


かごめはりんの手に顔を近づけた。




「あら本当。キレイね〜。」


感嘆の声を上げるかごめ。





「今年も桜の時期が来たのねぇ。」


そう言って顔を上げると、かごめは辺りに美しく咲く桜を見渡した。




「はいっ。去年やったお花見、凄く楽しかったですねっ。」



去年の記憶を蘇らせ、思わず笑顔になるりん。




「そうだっ!今年もやりましょうよっ、お花見!」



「えっ?」



かごめの言葉に、りんは言葉を詰まらせた。





「あたし、珊瑚ちゃんたちにも声掛けてみるわっ!」


そう言ってすっかりやる気なかごめに対し、りんが遠慮がちに問い掛ける。




「あの…、今年も、一緒にやっていいんですか?」


不安気に聞くりん。





「当然じゃないっ!りんちゃんはもう、あたしの妹みたいなものなんだからっ!」



そう言ってにっこりと笑ったかごめに、りんの顔には一気に花が咲いた。




「そんなっ…、嬉しいですっ!りんもかごめさまのこと、本当のお姉さんみたいに大好きですっ!」



「あらっ、ありがとう!りんちゃんっ!」



「はいっ!」


二人は顔を見合わせて笑った。





「じゃああたしも、帰ったら楓さまに言ってみますねっ!」


りんは張り切ったように立ち上がると、自分の胸をポンっと叩いた。




「えぇ。よろしく頼むわっ!」


かごめも立ち上がってりんに向かい合う。




「はいっ!任せて下さいっ!」


りんはそう言うと、再び嬉しそうに笑った。








◆ ◇ ◆ ◇ ◆







「花見?」



「はいっ!今日かごめさまと話してたんです!」


りんはさっそくその夜、楓に昼間の話をした。




「かごめさまが、今年もみんなでお花見をしようって!!」



「そうか、もうそんな時期が来たか。」

考え深そうに言う楓。



「今年も一緒に参加して良いって、かごめさまが言って下さったんですっ!」


りんは嬉しそうに顔を綻ばせた。




「そうか。それは良かったな、りん。あと5日もすれば、丘の桜が見頃じゃよ。花見はそこでやるとしよう。」


楓の言葉に、りんは目を輝かす。




「はいっ!じゃあかごめさまたちにも、明日伝えておきますっ!」


りんはそう言うと、鼻歌を唄いながら夕食の片付けを始めた。




そんなりんの様子に、思わず楓も笑顔になる。





よっぼど嬉しいのじゃな。




楓はどこまでも優しい眼差しでりんを見つめながら、その成長を染み染みと感じた。
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