お花見





次の日。




りんはかごめに、昨夜のことを伝えた。




「4日後ね。わかったわ!珊瑚ちゃんも、弥勒さまや子どもたちと一緒に来るって!」



「家族みんなで来れるんですねっ!!また去年みたいに楽しくなりそうですっ!!」



嬉しそうに言うりん。





「えぇっ!あとは…。」



かごめはそう言って意味深な表情をした。



そんなかごめに、りんも理解したようににっこりと笑う。




「犬夜叉さまですねっ!もちろん今年も来て欲しいですっ!!」


りんの言葉に、かごめは

「は?」

と口を開けた。




「違うわよ〜!あいつは始めっから強制参加っ!犬夜叉よりも、もっと重要な人がいるでしょ?」



「え?」


不思議そうに首を傾げるりん。




「琥珀と七宝ちゃんですか?もちろん来れれば来て欲しいけど…。」



「あーっ、違う違うっ!!そりゃああの二人にも来て欲しいけど、いつ戻るかわかんないからっ。」




「やっぱそうですよねぇ…。」



りんの能天気な態度に、かごめは痺れを切らして口を開いた。




「それよりっ、りんちゃんにはもっと大切な人がいるでしょっ?」



「えぇ?もっと大切な人?」


りんは再び首を傾げる。




「もぉーっ!!せっしょーまるよっ!!」



「えぇーーっ!?殺生丸さまですかっ!?」


驚いて目を丸くするりん。




「そうよっ!誘ってみたら?」



「えっ….、いや…でも…。」


りんは顔を俯かせた。




「去年も誘ったけど、来なかったかし…。」




「何言ってんのよっ!去年は他に、何か用事があったんじゃないの?今年は来てくれるかもしれないじゃない!」


りんを励ますように明るく言うかごめ。




「いや…、たぶん違うと思います。」


かごめに反し、りんは少し苦笑いをしながら話を続けた。




「殺生丸さまは、人が沢山いるところや、わいわい賑やかなところがあんまり好きじゃないんです。」




そう言ったりんの表情は、思いのほか悲しげではなく…。


どこか理解している感じだった。




「まぁ…確かにね。ましてや犬夜叉がいるから、殺生丸も来づらいだろうな…。」


かごめは大きなため息を吐いた。




「だからいいんですっ!去年は、殺生丸さまがいなくてもとっても楽しかったし!!」



そう言って笑ったりんの笑顔に嘘偽りは感じられず、ただただ本当に楽しかったという感じだった。




「あらあら、そんなこと言っちゃって。」

りんのそんな様子に、思わず薄笑いを浮かべるかごめ。




今の言葉を殺生丸が聞いたら、きっと泣くわよ?



そこまで考えて、かごめは思わずクスりと笑った。


そんなかごめを、りんは不思議そうな面持ちで見上げる。




「ん?どうしたんですか?」



「ううんっ! まっ、取り敢えず誘うだけ誘ってみたら?ダメもとでさっ!」



「うーん、そうですねっ!じゃあ次会ったときに言ってみますっ!」



りんはそう言って、殺生丸を誘ってみることにした。
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