りんアルバイトをする




もうすっかり春の暖かさに包まれ、りんは強い日差しに思わず目を細めた。
先程洗濯したものを両手に抱え、額からは一筋の汗が流れ落ちる。



なんか暑いな〜。

そんなことを思いながら歩いていると…


「りんっ!」

後ろから名を呼ばれふとそちらを振り返る。


「さきっ!」

りんの後ろから走って来たのは親友のさき。
さきは上がった息を整えるなり
「りんにお願いがあるんだけどっ…。」
と話を切り出した。


「お願い?」

「そうっ!あのね、あたしの母さんの知り合いが市で団子屋をやってるんだけど、そこで一緒に働いてた娘さんがこの春お嫁に行っちゃうんだって!それで1人じゃお店が回らないから代わりの人を探してるんだけどなかなか見つからないみたいで…。りん、その代わりの人が見つかるまで団子屋を手伝って貰えないかな?」

さきの頼みに
「えっ?あたしがっ?」
とりんは目を丸くする。

「うん、あたしは家の手伝いや弟たちの面倒で手が離せなくて…。」

さきの言葉にそういえばと、さきの家にはまだ小さい弟や妹がいることを思い出した。


「そっかぁ。さきは忙しいもんね。」
りんは納得したように言うと
「じゃあちょっと楓さまに相談してみるねっ!」

そう言ってにっこりと笑ったりんに、
「ありがとうっ!」
とさきは嬉しそうに目を輝かせた。








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そしてその日の夕方、楓がお祓いから帰ると、りんはさっそく昼間のことを相談した。



「ほう、それは大変だな、行ったらどうだ?」
思いの外あっさりと了承した楓。

そんな楓に
「でも、家のことは大丈夫ですか?」
とりんは心配そうに聞く。


「少しの間ならどうにかなる。外の世界で働くのも良い経験じゃ。りん、行っておいで。」
楓が優しくそう言うと、りんは
「はいっ!ありがとうございますっ!」
と言って嬉しそうに笑った。




しかしそんなりんに対し、今度は真剣な表情で口を開く楓。
「但し、殺生丸殿にはちゃんと伝えて置くのだぞ?」
そう念を押すように言った。



何も知らずりんに会いにきた時、りんが市で働いているなどと知ったら何と言われるか…。



思わず心中でそんな不安を巡らせる。

しかしそんな気も知らないりんは、はあい!と能天気な軽い返事をした。








ーーーーーーーーーー








次の日。




「ほんとぉっ!?行ってくれるのぉっ!?」
さきは嬉しそうに身を乗り出した。


「ありがとうっ!本当助かるよっ!確か5日後には娘さんがいなくなっちゃうみたいだから、その日からでも大丈夫?」

「うんっ!大丈夫だよっ!」
そう言って頷くりんに、
「ごめんね、本当急で。」
とさきは申し訳なさそうな顔をするる。


「きっとつねさん喜ぶからっ!!」

「つねさん?」

「そうっ!つねさんはその団子屋の奥さんっ!」

「そうなんだぁ!」

「じゃっ、それまでに準備しといてねっ!」
さきはそう言うと嬉しそうに帰って行った。





5日後かぁ…。


殺生丸さま来るかな…。


りんは不安そうに空を見上げた。
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