疑問@








「あつーーーーーーい!!!」



りんの大きな声が、静かな森に響き渡った。




辺りには本格的な夏の暑さが広がり、額に滲んだ汗を拭う。


あちこちから聞こえてくる蝉の鳴き声が、夏の暑さをより一層感じさせた。




「この辺に川とかないのかな〜?」

りんは阿吽に跨りながら左右に出した足をぶらつかせた。




「ったく煩いわっ!!さっきっから同じことを何べんも何べんもっ!!こんな山奥に川などあるわけないじゃろうっ!!」

痺れを切らした邪見に怒られながらも

「だってぇ〜。」

と、りんは暑さで潮紅した頬を膨らませた。



りんが懸命に汗を拭う中、前を行く殺生丸は、本当に同じ場所にいるのかと疑うほどに涼しい顔をしている。

妖怪と人間はこうも違うのかとため息をつくりんだったが、その後ろを歩く邪見の額にもうっすらと汗が滲み出ているのを見つけ、どうやら殺生丸が普通ではないらしいということが窺えた。



しばらく経ち、喉の渇きが限界に達したりんは、水の流れる微かな音ではっと顔を上げた。




「川だっ!!!」

思わずそう叫んび阿吽から身を乗り出す。




「殺生丸さまっ!!ちょっと水浴びしてもいい?」



りんの言葉に、殺生丸はピタリと足を止める。




「なっ…!!勝手なこと言うでないっ!!」

すかさず説教をするためりんを振り返った邪見だが、すでに阿吽から降りたりんは


「すぐ戻るからー!!」


と言って川に向かって走って行ってしまった。




「なんと我儘なやつじゃっ!!殺生丸さまっ、あんな餓鬼ほっといて先を進みましょう!!」


殺生丸を見上げた邪見は頭に血を上らせながら言った。


しかし当の主は邪見を無視し、黙ったままりんのあとを追い始める。




「ちょっ…殺生丸さまお待ち下さいっ!!!」

殺生丸の予期せぬ行動に、邪見は慌ててそのあとを追った。
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