タイトルなし

※メモ(ハイエド)








男を拾った。
街中に倒れていた男を、だ。酔っ払いか、はたまた体調が悪いのか。どちらにしても夜の街中は物騒だ。駆け寄って様子を見るとその顔は弟そっくりだった。
弟のアルとは違い淡い髪の色に、痩せた体に街灯の光に照らされた青白い頬。男はどうやら気を失っているようだ。
放置する訳には行かない。アルそっくりだし何かの縁だ。俺は男の肩に手を回すと引きずりながらもアパートへと運ぶ事にした。
病弱な感じなのにくやしいが身長は俺より高い。
だから引きずってアンタの靴が傷だらけになるだろうけど仕方ないよな。

「フー、ついた。」

男をベッドへ寝かせると俺は床に座り込んだ。外傷は無く、脈も正常。毛布を被せてストーブに火をつけた。

「まぁ大丈夫かな。」

医療はかじる程度しか知識が無い。でも素人目に見ても大丈夫そうだ。部屋をあたため、毛布を被せたからか血色も良くなってきた。

俺はソファーに寝転がると目を閉じた。

「今度アルに教えてやろう。」


朝日が眩しい。目を覚ました俺はベッドを確認するが男は眠ったまま。俺は男を見下ろしながらどうするのか悩むはめになった。

「ノックス先生に診てもらうかなー。少尉に頼んで身元も調べてもらわないと……」
ブツブツと呟いていると、
ぱちり。
急に男が目を覚ました。その瞳は空色。俺を映して驚いた表情を浮かべている。

「あんたが道に倒れててさ、」

「天使?」

「は?」

「僕は実験中の爆発に巻き込まれて死んだ筈なんだ……そうだ、あなたは天使なんですね。」

どうしよう。何を言っているんだ、こいつ。
天使って、と思わず鳥肌が立ち慌てて訂正する。

「馬鹿な事言ってんなよ。寝ぼけてるのか?体を起こして外を見てみろ。セントラルだよ。ほら。」

「セントラル……?」

首を傾げた男は起き上がり窓へと向かう。
「……どこなんでしょうか?ここは。」










リゼ