ひとめ(ハボエド)

ハボックは東方司令部の廊下を徹夜明けで眠い目を擦りながら歩いていた。
ブレダに仕事の引き継ぎを済ませれば家に帰れる。
ところが執務室の扉を開けると見慣れない子どもがソファーに腰かけていて。長い金髪に金の瞳が朝日に輝いており、ハボックはその華やかさに一気に目が覚めた。
「あの、大佐知らな、知りませんか?」
「ん?もうすぐ出勤してくるけど……お前誰?」
意志の強さを感じる少しばかりつり上がった目と金髪に一瞬、ホークアイが頭を過るが彼女に弟、もしくは妹がいると聞いたことが無い。
少年、ハボックから見たら少女にも見える子どもは慌てた様子で何かを付き出した。
「俺、今日付けで国家錬金術師に任命されたエドワードエルリックって言います。大佐に朝一番にくるように言われたんだけどさ、いねー、じゃなくていなくて困ってたんです!」
それは子どもには厭に不似合いな厳つい銀時計。だが緊張した態度と使い馴れない辿々しい敬語が可愛らしくてハボックは吹き出した。
「お前が最年少国家錬金術師か。そう言えば大佐が昨日話してたな。俺はジャンハボックだ。」最年少国家錬金術師について話を聞いた時はどんなお堅い、真面目な牛乳瓶の底の様な眼鏡を掛けた絵に描いたような勤勉少年かと思った。実際は幼く年相応な少年で、エドは良い意味でハボックの予想を裏切った。
「よろしくな。あと、無理して敬語喋んなくていいぜ。下手くそだし似合ってねえからなぁ。」
「なんだよ、人が気使って話してたのに……。」
エドはため息を吐いてハボックを見上げた。
自分を真っ直ぐに見つめてくる深い金色をした瞳に何故だか、
「へ、ガキが余計な気を使わなくていいんだよ。生意気だな。」
「痛いな!生意気とはなんだよ!っーか身長縮む!」
何故だか、胸が高鳴ったハボックはソレを誤魔化す様にエドの頭をポンとからかうように叩いた。


end


ハボは惚れっぽそう。エドに一目惚れしてたらいいのに、と言う妄想。
ハボエド好き─。
リゼ