conosco




あたたかい。
温もりが心地よくて頬擦りをすれば、優しい手つきで髪をすかれる。
Γまったく仕方ないなぁ……甘えやがって。」
クスクスと、柔らかな笑い声が聞こえた。確か私は職務中だったはずだ。うっすらと眼を開けば夕日に照らされた天井、それと視界の端で何かがきらりと輝いた。
Γあ、起こしちゃった?」
ゆっくりと視線を動かすと鋼のが私の顔を覗きこんでいる。
Γはがね、の……?」
夕日に照らされた髪が燃えるように輝いていて、その顔はいつもより柔らかい微笑みをのせていた。いつもの小生意気な少年とはまるで違うその表情に、何故かドキリとする。
Γ俺が報告書出しに来たら大佐がソファーで寝ててさ。寝苦しそうにしてたから……」
そこまで言われてやっと気が付いた。この温もりは、
Γ俺の膝枕は高いぜ?1時間で大佐の給料2か月分な。」
なんとも居心地が良い温もりは膝枕だったようだ。
普段の私なら野郎の膝枕で寝るなんてとか、随分色気が無い膝枕だとか、ぼったくりだとか何かしら返すだろうに。
Γす、すまない。」
自分でも驚くくらい動揺した、情けない声しか出せなかった。
すると鋼のは困ったように笑って私の頭を撫でる。
Γ冗談だよ。大佐、結構疲れてるんじゃない?」
Γそうかもな。」
温もりが、頭を撫でる手が、何より鋼のが愛しく感じるなんて疲れてるに決まっているじゃないか。だから、
Γもう少し寝てて良いか?」
私は瞼を閉じて鋼のの腹をぎゅっと抱き締める。
Γはいはい、どーぞ。」
呆れた様な鋼のの声があまりにも優しくて、甘くて、愛しくて涙が出そうになった。
Γおやすみ……」
目覚めたらすっきりした頭で考えてみよう。
この感情は何なのかを。
Γおやすみ、大佐。」




end



恋人未満ロイエド。
大佐が甘えん坊ですみません!




リゼ