地獄の朝食
『297.298.299.300!!』
あー!疲れました。
ま、好きでやってるんだから仕方ないんだけど…でも腕は死んだな。うん。
『って、ヤバ!朝練まで40分!』
え、40分?って事はあの方が起きていらっしゃる。嘘!いや、まだ間に合うかも…そんな訳あるかー!今から今日の私の運命が…決まる。
『ただいま戻りました。』
父「お帰り」
母「遅かったわね。もう起きてらっしゃるわよ。」
『うん…そうだと思ってた。』
やっぱりね、うん。あの方が寝坊なんてする訳ないし…そうそう、あの方とは私のおばあちゃんです。
『おはようございます。』
祖母「はい、おはよう。」
別に私は、おばあちゃんが嫌いな訳ではありません。ただ「貴方がどこに行っても恥ずかしくないように」という事と、お茶の先生(結構有名)という事もあって…それはものスゴく厳しいんです。ハイ。
母「名無子ー!ご飯は?遅刻するわよー?」
『今行くー!!』
祖母「それじゃあ、急ぎなさい。私も、もうすぐ行くわ。」
『はい、それではお先に失礼します。』
『いただきます。』
祖母「名無子ちゃん、きちんとお茶碗持って」
『…ハイ』
祖母「返事はもっと早くね」
『ハイ』
祖母「好き嫌いしないで、ニンジンも食べるのよ。」
『ハイ』
祖母「野球部は、どうなの?」
『今年から、後輩も入って来たので大変な所もありますが、みんな甲子園のために頑張ってます。』
祖母「そう。でも来年受験なんだから、勉強も頑張るのよ。」
『はい。ごちそうさまでした。』
母「はい。お粗末様でした。」
『行ってきます。』
父・母・祖母「いってらっしゃい」
と、毎回この調子。勉強頑張って=野球は辞めなさい。って事、絶対辞めないけどね。ま、おばあちゃんの言う事も分かるんだ、野球なんて男がする事って思ってる。
でも、野球だけは譲れない。選手は無理だけど、マネージャーは続ける。でも朝食の時の、おばあちゃんの毒舌攻撃は止まらない。だから私朝食の時は秘かにこう呼んでる「地獄の朝食」ってね。
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