壮五くんとマネージャー
「壮五さんって、幸薄い顔してますよね。」
そう言ったのは紛れもなく年下のマネージャーだ。MEZZO″の代理マネージャーとしてよく仕事をしてくれている。(小鳥遊さんと同い年って言ってたっけ。)環くんの事から仕事のことまで、マルチにこなす。環くんは彼女の言うことはすんなり聞いているようで、彼女がマネージャーに就いてから遅刻が減った。(0とは言わない。けど激減した。)
環くんだけではなく、僕にもケアが回ってくる。仕事終わりも【体調に変化はありませんか?】や【明日も朝早いのでお寝坊しないようにしてください。(壮五さんは心配ないか(笑))】などといったラビチャが送られてくる。環くんにも送っているんだろうなと思うと、今まで僕がやっていたことをやってくれる彼女への感謝と、何だか良くわからない感情が疼いた。
翌朝。環くんと一織くんは学校、大和さんはドラマ撮影、ナギくんは雑誌の撮影、陸くんと三月くんは買いだしへ出かけた。僕も久々のオフである。なのでリビングを掃除しようとひとり奮起していた時だった。
「あれ、壮五さんおひとりですか?」
マネージャーだ。どうしたのと尋ねれば、「壮五さんがきちんと休んでいるか見に来たんです。」その様子じゃ、見に来て正解でしたね。と困ったように笑った。あっさりと見抜かれた僕はただごまかすように笑うしかなかった。
「壮五さんって、幸薄い顔してますよね。」
そしてこの冒頭のセリフだ。何急に?と聞くと、
「だって、壮五さんは何でもかんでもため込んであとから苦しくなっちゃうタイプですよね。」
年下の女の子に言われると結構くるものがあった。そうかな。と言うと、だから倒れちゃうんです。と少し怒られてしまった。
「頼るって教わらなかったからさ。つい。」
「教わらないと頼れないんですか?」
「頼り方を知らないんだよ。」
ごめんね、と言うと。ふーん、と返ってきた。何だか気まずい雰囲気になってきている。
「別に頼り方知らない人に頼れだなんて言いません。」
うっ。とても厳しいお言葉……。
「でも、壮五さんが元気のない時は私が幸せ、分けてあげますね!」
キラキラとした笑顔。何だかほっとした。心の中にあった固い氷がゆっくり溶けているようで。なんだか温かい気持ちになった。
(大丈夫。)
(君が支えてくれるだけで幸せだよ。)
20160202
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