四葉くんと私。@
「ねみい。」「つかれた。」「だるい。」
このセリフは前の席の男の子がよく使う言葉ランキングベスト3だ。
彼はよく寝る。そしてよく食べる。本能に赴くままという言葉が一番似合っているのかもしれない彼は四葉環くん。最近テレビに引っ張りだこの【MEZZO】のメンバーで、同時にアイドリッシュセブンのメンバーだ。
私は四葉くんと何ら関わりはないけれど、彼が運動神経がいいことは知っている。テレビで見たダンスはメンバー内でピカイチだったし、体育の授業の時も女の子たちが歓声を上げるほど。彼はアイドルになる前から女の子たちのアイドルだ。
しかしそんな四葉くんにも欠点というか、そんなようなものがある。よく隣のクラスの和泉くんに怒られていたり、授業中に寝たりサボったり。先生方は「また四葉か…」と頭を悩ませているのを知っている。彼は先生からも注目の的なのだ。
「なぁ、あんた」
プリンを食べながらぼやっとしていると四葉くんに話しかけられた。
うわわ、背ぇ高い…!
私を見下ろす四葉くん。こうも見降ろされると謎の威圧感を感じる。ひえぇ…!なんかしちゃったかな、私。
「それ」
「え?」
「王様プリン?」
四葉くんの長い人差し指が差したのは、私の食べかけの王様プリンだった。
「そ、そうだよ。近くのコンビニにたまたまあったから…」
「ふぅん」
すると四葉くんはなんと私の食べかけ王様プリンを一口食べたのだ。え、ええ?!何何何?!何事?!
「うまいよね、王様プリン」
四葉くんは間接キスなんてお構いなし自覚なし。それとも気にしないだけなのかな…?
そんなことよりも四葉くんの微笑んだ顔が何だか可愛らしくて、うなづくことしかできなかった。
(よ、四葉くん…!)
(あ、全部食っちゃった。わり。)
(いいよ、また買えばいいんだし…!)
(え。買ってくれんの。)
(えっ)
ありがとうございました!
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