渇いた疾風(かぜ)

湿っぽい部屋に渇いた風が吹き抜ける。
ねぇ、怒ってる?
無理矢理に君の事連れ込んで、逃げれないように手錠をかけた事。

座ってる君を僕は立って見下す。

だけど僕はただ、君を誰にも触れさせたくなかっただけ。

「入江さん…どうしてこんな…」
「わからないかなぁ…徳川くん…」

君が好き。
見ただけでもう死んでしまうくらい、泣きたくなるくらい胸が苦しい。
もしも触れたら……

きっと…

「ねぇ、徳川くん…君が好きだよ…。」

そう言ったら君はほくそ笑んで下を向き僕から視線を逸らす

「また…演技ですか?」
「……さぁね」

どこにも行かないで、今はここにいて。
異常過ぎる君への愛は僕をただ悪者にしてしまう。

でも、いいよね?
君を手に入れる事が出来るんならばそれでも僕は構わない。

「……入江さん」

僕に動揺してるかい?それともその顔は同情?
君は僕を味方としてる?違くて敵?

ううん

答えはない。
君は今、ここから離れたいだけ。
わかってる。知ってるんだ。

「徳川くん…お願い、僕を愛して…。」

苦しくなるくらい。君を僕が壊したくなるくらいに。

「…ごめん、なさい……」

叶わない…。
濁った思いが痛いよ、徳川くん。

「そうか…じゃあ、」

無理矢理に君を奪ってしまえ。
悪役を演じるのだってもう僕にとってはお手の物。

「入江さん、なにす…っ」

押し倒した瞬間、ガンと鈍い音が響いた。
素晴らしい。
頭を打ったんだね。
だけど僕にまで響くこの痛み。

――全テハ君ト、繋ガッテ イルカラ…――

「フフフ…“痛い”かい?僕は“嬉しい”よ」
「…っ」

だってそうじゃない。
今君は僕が動かし掴んでる。
愛して愛して、心底愛して
それでも伝わらなかったのにね。

素敵過ぎる。

ほんの一瞬で君は僕のもの。
悪い人になった途端に僕だけのヒト。

嗚呼…、素敵。

「ごめんね、もうこの気持ちには歯止めが利かない。」

強いって何?それは誰も知らない、手に入らない
だってそれは造る物。暗い気分に沈んでも明るい気分を造ればいい。
弱い自分に落ち込んだら強さを造ればいいだけさ。
僕はまだこれから成長し続ける。

それが真実。


「あはは!!徳川くん、可愛いよ!君は可愛い!!」

頭が混乱する…。本当は?
本当は可愛いなどと思っていない。
手に入れたい、手に入れたい…手に入れたい、僕だけの君。

僕しか知らない君の顔をたっぷりと味わうのさ。

暴れても利かないよ、君の自由は両手の銀が許さない。

服を脱がす。
君の白い肌が露わになって僕を歓ばす。

「入江さん…!!」

全て剥ぎ取り、生まれたての姿になったら君は赤面し横を向いた。

「…恥ずかしいかい?」
「やめて下さい…。」
「謙遜するなよ。君が今どんな状況かわかってるのかい?」
「……っ、」

自分のズボンのチャックを開けて自身を取り出し、君に握らす。

「ほら、君の事見てただけでこんなに僕は象る。」

君がいれば、僕は僕でいられる。
僕の全てが今は君だよ。

渇いた部屋。
湿気もないのに汗をかくのは君のせい。

「さぁ…もっと、僕を作って。」

本当の自分なんて分からない。
だからねぇ、君が教えて、造って、笑って。

「ん…っ、そう、いいよ徳川くん…」

我慢してる汁が出る。
透明で綺麗だから…もっと、舐めて。
だけど、ね

「そろそろ射れるよ…っ」










「…ぁああっ!!徳川くん!!」
「うっ…」

挿したら、君の可愛い壁が僕を締め付ける。

「はぁ、はぁ…っ」

身動きさえ出来ないさ。
君がこんなに僕を離さないから。
ねっとり絡みついて来る。

「動くよ…。」
「…ぁあ」

奥まで入って君の中。
ここが僕の住むところ。

愛シテル、愛シテナイ、

愛オシイ、タダ怖イ、

気持チイイ、痛イ、

僕ノモノ、貴方ハ イラナイ

イラナイ、いらない?
君の気持ちわかってる
だけど止まらない。

揺らして揺らして果てた時には月が綺麗に笑ってた。

君に僕の白い液をかける。

そうだね…夜は全てを包む闇。
黒いカーテン。







――カチャ

君の手錠を外した。
あんなにも君を縛っていたのに簡単に取れる





サヨナラ徳川くん。明日は君は僕を嫌いになるね。



だけど、ね…
僕は透明なんかじゃない。
本当の僕は白く濁ったモノ。
早くそれに気付いて、もっと触って






(2011/01/30)
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