耳掻きがない

576:癒されたい名無しさん :2009/02/26(木) 19:28:55 ID:5iuaRCuy [sage]
耳掻きがない。
確かここに置いた筈・・・と見回した机の上の惨状に、早々と捜索を諦めた私は
部屋着の上に丈の長いコートを着込み、近所のドラッグストアへ向かった。
(小さい店の割に、結構充実してる。・・・ついでに掃除用具も買ってくか。)
太い物、細い物、竹製、金属製、スパイラル式と、様々な耳掻きが並んでいる。
前の耳掻きは、コンビニで買った梵天付のノーマルな物だ。
(あれも悪くはなかったけど、少し太過ぎたかなぁ。)
耳の穴が狭いのか、普通の耳掻きでは入り口付近までしか掃除出来ない。
と言っても、生来不器用な為、奥まで耳掻きを入れる事などないのだが。
(・・・まぁ、やっぱり普通のにしておくか。)
そう思って、なくした耳掻きとさほど変わらない物を手に取る。
すると、その隣に並べられた、細い竹製の耳掻きが目に留まった。
(これで耳掻きしたら、メチャメチャ気持ち良いだろうなぁ・・・。)
(・・・どうせ外側と入り口しかやらないし、危なくないない。)
私は、先程手に取った耳掻きを棚に戻し、竹製耳掻きを持ってレジへ向かった。
577:癒されたい名無しさん :2009/02/26(木) 19:31:32 ID:5iuaRCuy [sage]
アパートに戻り、早速新しい耳掻きを使ってみる。
まずは右から。カリカリ、コリコリ・・・と耳殻の窪みをなぞっていく。
(・・・あ・・・うん、良い・・・な。)
薄い匙の先で掻かれると、得も言われぬ快感が広がる。
前の耳掻きとは比べ物にならないくらい、鋭い掻き心地だ。
スー・・・カリ、カリ、スー、カリ、カリッ・・・・・・クリッ・・・
白っぽい粉状の耳垢が、匙一杯に盛られている。
(昨日もやったのに・・・こんなに取り残しがあったんだ。)
前の耳掻きでは撫で付けるばかりだった耳垢を、薄い匙がどんどん剥がしていく。
私はさらに、耳掻きを穴の中へと差し込んだ。刺激され、弱い痒みが生じる。
カリ、・・・カリッ・・・カリッ・・・カリッ・・・、カリカリッ・・・
(・・・ああ、気持ち良い・・・。力が抜ける・・・。)
カリッ、カリッ・・・コッ・・・コリッ・・・ペ・・・リッ!
何かが剥がれる感触。見ると、先程より大きな、薄い皮状の耳垢が載っている。
(お、大物!・・・って、痒いい!)
耳垢を剥がした箇所がピリピリと痒い。堪らずそこをバリバリ掻くと、さらに強い快感。
すっと耳掻きを抜くと、背筋が微かに震えた。
(・・・これは、気持ち良い・・・買って正解だったな。)

578:癒されたい名無しさん :2009/02/26(木) 19:34:46 ID:5iuaRCuy [sage]
右側は終わり。次は左耳だ。・・・少し手に力が入る。私は左手が格別不器用なのだ。
ぎこちない手つきで、まずは外側をなぞる。
スッ・・・スッ、スー・・・カリッ・・・カリッ・・・カ、・・・
やはり気持ち良い。右より左の方が耳垢が溜まっている様だ。
こんもりと取れた耳垢を何度もティッシュに取りながら、やがて穴の中へ向かう。
カッ・・・カリ、・・・ザリ、ザ、ザ、ザ・・・ クリッ・・・カリ、ザ、ザ・・・ザリ・・・
耳の中には、さらに耳垢が溜まっている様だ。
(・・・左耳、今までは本当に入り口の所しかやってなかったんだな。)
柄の細い耳掻きは、少し角度を付けるだけで奥へと入り込み、耳垢を掻き出す。
(気持ち良い・・・でも、やっぱりちょっと危ないかもな・・・)
へばり付いた耳垢を剥がそうと、耳掻きを少し強めに押し付ける。その途端、
「!っ・・・・・・あ・・・」 グリッ!
579:癒されたい名無しさん :2009/02/26(木) 19:35:46 ID:5iuaRCuy [sage]
耳掻きが、予想もしなかった奥のほうまで入り込み、耳壁を抉る。
ビリビリと電流のような刺激が背筋にはしる。
痛み・・・否、物凄い快感だ。頭の先まで痺れる様な・・・。
異物を感じ、耳掻きをそっと引き抜く。
ズル・・・と音を立てて出てきたのは、今まで見た事のないような巨大な耳垢だった。
濃い黄色、部分的に茶色く変色した大きな塊。
さらに、尻尾のようにくっついた1.5cmはありそうな薄く細長い耳垢。
「・・・すご・・・・・・。」
まじまじと見つめていると、またも掻き取った場所が疼く。
今度はゆっくりと慎重に耳掻きを入れていくと、痛みもなく先程の地点に到達した。
カリッ・・・カッ・・・コッ・・・カリカリ・・・、・・・クリッ・・・
今まで全く触れられてこなかった場所だ。大物を剥がしたときの刺激も相俟って
始めは何とも言えない、くすぐったい様な、奇妙な掻き心地だった。
しかし、取り残しの固くへばり付いた耳垢を取っていくうちに
それが何とも言えない気持ち良さへと変わっていく。
カ・・・カリカリ・・・サク、・・・カリッ・・・ガリッ・・・、カリ・・・カリ、・・・スー・・・
580:癒されたい名無しさん :2009/02/26(木) 19:38:01 ID:5iuaRCuy [sage]
何時までもこうしていたい、という気持ちを抑えて耳掻きを終える。
急に風通しが良くなった所為かやっぱり痒い。それに何だかカサカサする。
(梵天・・・は付いてないんだなぁ。この耳掻き。)
と言うかあんな狭い所に梵天は入らないだろうしな。
化粧ポーチの中からメイク用の麺棒を取り出す。サイズも調度良さそうだ。
思い立って、何かで読んだ様に麺棒の先にシーブリーズを染み込ませる。
すっと差込み、クリクリと回転させると、痒みは嘘のように収まった。
(気持ち良かった・・・何だか左耳だけ聞こえやすくなった様な?)
さて右はどうしようか。一度にやってしまうのは勿体無い気も。
そんな事を思っていると、何だか右耳が痒くなってきた。
「・・・右耳ならもう少し奥までイケるかも・・・。」
麺棒をごみ箱に放り込み、私はもう一度細い竹製の耳掻きを手に取った。
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