崩れて崩れぬ賽の山

要は1個1個崩れないように気を付ければいいとのことだ。ただ1つ1つが本当に脆くて不安定だから、彼らはよく崩れようとする。3人の内誰かが死ねば残りの2人が補わなくてはならない。正にジェンガである。

「ジェンガ飽きた!だってチロル弱いんだもん!」
目の前にはパステルカラーのジェンガが半分の土台を残して崩れている。僕はパステルピンクのスティックをぼんやりと持っている。また負けた。
「……もういっかい」
おかしい。途中まで順調だったのに。
遥菓は首を傾けてぱきぱき音を鳴らすと、両手を天井へ伸ばして大袈裟にああと声を漏らした。僕はなんとなく遥菓の首根っこをチョップすると、彼女は目を細める。
「これじゃ上田さんに勝てないんじゃない」
「違う。遥菓が強いだけ」
「そんな強くないよ、だってチロル仕掛けるんだもん。素直にバランス取るようにとってけばいいんだって」
そう言うと、ピンク水色ピンクとピースを3つ並べ、真ん中だけとったり真ん中だけ残したりしてレクチャーし始めた。こいつ宮瀬さんギャだっただけあって段々と宮瀬さんにそういうところが似てきて寒気がする。
「あ、なんで上田さんに勝たなきゃいけないの」
遥菓はテーブルの隅に置いてあった僕とお揃いのマグカップを手に取ると二口気を付けて啜った。確か次の会場確保が新木場か新宿で迷っていて、僕との勝負でどっちか決めるとか言っていたような気がするが、明確な理由はすっかり忘れてしまった。しかしジェンガは強ければ強い程いいと思う。もう上田さんなんてどうでもいい。
「忘れた。もっかいやるよ」
僕が黙々とジェンガを組み立てると、遥菓は不服そうに足をばたばたさせる。キミの睡眠時間は僕のジェンガ特訓に消えるのだ。

「ジェンガってさ、恋みたいだよね」
遥菓は3回目の勝利の言葉にそれを吐いた。
やっと作った1つの山から互いに1個取り合って山を崩す様はどちらかと言えば賽の河原に似ているような気がする。それでも僕は親に恩を報いる程のことをしてないし、されてないからジェンガをするべき人間じゃないんだろうなと、チョコレートのようなピースを眺めて思った。
遥菓はそんな僕を気に留めず、幸せな睡魔が、と呟く。


崩れて崩れぬ賽の山
(あなたとわたしのこいはじぇんがー)
(うばいあうー)

Fin*











































戻る
リゼ