スウィートガールフレンド

売店に煙草が1箱だけ入荷したというお知らせメールを見て、思わず飛び上がってしまった。次の瞬間、上手に息が出来なくなるくらい動悸がし、気付けば部屋着にブラッド制服の上着だけ羽織って部屋を飛び出していた。
1ヶ月ぶりの喫煙である。先程の帝王ソロ狩りの疲労も一気に解消された気分だ。本当はブラッドレイジの反動であちこち身体が軋むのだがそんなことにいちいち構っている暇はない。颯爽と廊下を駆ける。久々に気分が良い。

「すみません、煙草1箱ください」
「おっちゃん、煙草1箱ちょーだい」
同じタイミング、同じ声のトーンで被せてきたのはクレイドルのエディ中尉。お互いがその瞬間に顔を見合わせ、ばちりと火花が散るような勢いで視線がぶつかる。店主が面倒くさそうに、仰々しく溜息を大きく吐いた。
「ユユちゃんこの銘柄吸わないでしょ、それにハルさんに控えろって言われてなかった?」
「それはエディ中尉もですよね? ついこの間べろべろに酔ってたときに、付き合ってる人に呆れられるから煙草やめようかなって泣いてませんでしたか」
「ちょっと……アナグラではおれのが階級高いんだからな。階級が絶対ってブラッドで習わなかったの?」
「この間色恋沙汰会議したとき、階級なんて関係ない的なこと言ってたのに……」
そんな不毛な論争中、帰投側のエレベーターが気まずそうなベルの音を連れて開く。この足音はハルさん……じゃない、
「マイスウィートエンジェルコウタ!!」
私が振り向くと同時にエディ中尉が絶叫に近い声を発する。飛びつくようにエレベーターへ向かった彼を横目、店主にお代を払って受け取った煙草を素早くポケットに仕舞った。ナイスタイミング、コウタ隊長。
帰宅した飼い主にじゃれつく犬のようなエディ中尉を、いつものようにあしらっているコウタ隊長なのだが、どこか嬉しそうな表情だ。エディ中尉の彼女に嫉妬されないのか不安なぐらいである。
ラブラブで羨ましいこと、すれ違った防衛班のタツミ隊長が呟いた。


スウィートガールフレンド
(彼女ってアメノ隊長……なのかな)



























































































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