#朧月(Law)
『…ぶぇっしゅ!!』
春といえどまだまだ夜は寒いです。
そんなわたくし、名前は愛しのローのお家に行く途中であります。
ようやくレポートが終わったらしく疲れが溜まってとかなんたら。
なのであたしが行って片づけやらご飯作りやらするんです。
ってかローから電話があって命令されました。
ったく、なんでこんな寒い夜に…ゲフンゲフン。
にしても本当に寒いなぁ…。
春だろ、今春なんだろ!?
スプリングなう!
ふと上を見ると月が見えた。
しかも霞んでいる。
『これが朧月ってやつかな。』
よし、月も見れたことだし今日くらいのわがまま許してやるかな。
上に上げていた視線を元に戻すと10mぐらい先に帽子を目深に被った男が立っていた。
『(変質者とか強姦魔だったらどうしよう…!?)』
やっべ、逃げきる自信とかないんだけど。
立ち止まって余分なことを考えている内に男はあたしのすぐ側まで歩いてきた。
『…ってローじゃん!』
「誰だと思ったんだ。」
なんと変質者(仮)は愛しの彼氏でした。
『どうしたの、疲れてるんだったら家で大人しくしててよかったのに。』
「遅すぎるから来てやったんだろうが。」
『準備も何もしてなのに急に来いなんて、時間もかかるに決まってんじゃん。』
溜息をつきながらもローの差し出された手はしっかり握る。
「名前は冷え性だな。」
『こんな寒い夜空の下にいたら誰だって冷たくなるよ。』
ローの顔を見ようとしたらまた朧月が視界に入った。
ローよりそっちを見ていたら視線に気が付いたローも月を見上げた。
「朧月か。」
『うん、さっきからずっと思ってた。朧月って春に見えるんだね。』
なんて話しているとKY音がローのお腹から聞こえた。
「………。」
『行こっか!』
「今笑っただろ。」
『笑ってないよ!』
「口角が上がっていた。」
『言いがかりだ!』
朧月
(たまには夜に会うのもいいかな、なんて)
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