冷たくて、暖かくて(Law)
『、冷たい…。』
「当たり前だろ。」
名前は雪に触れてジッと疼くまっている。
名前にとって雪は初めてだが、ノースブルー出身の俺にとったらどうってことない。
『ロー!雪って噂通りだね!
触ったらすぐに溶けちゃう。』
俺のところまで雪を素手で運ぼうとしているが、その道のりまでに原形は留めてなかった。
『なんで雪って溶けちゃうんだろね…。こんなに綺麗なんだから固体でもいいのに。』
「馬鹿言え。もし雪が固体だったら降った後どうやって処理するんだ。」
『…皆で仲良くかき氷パーティーとか?』
「衛生面的に参加したくないパーティーだな。」
自分ながらくだらない会話だと思った。
まだ疼くまって立ち上がらない名前の腕を引いて立ち上がらせた。
「戻るぞ。風邪ひかれて船内にウイルス巻き散らかされたりでもしたら俺が困る。」
『あれ、あたしの体の心配じゃないんだ。』
俺にズルズル引きずられながら名前は名残惜しそうに雪を見詰めている。
「大分冷えたな。」
船の中に入ると名前に少し積もっていた雪を払い落とした。
『ローも冷た…くないだと…!?』
「あぁ…ずっとポケットに手を突っ込んでいたからな。」
『カイロもあったりして。』
「ご名答だ。」
ノースブルー出身をなめんなよ、と鼻で笑ってやれば目の前の女は悔しそうに地団駄踏んでいる。
外気に晒したことで少し体温が下がった自分の手で名前の頬を包むと名前はピタリと静かになった。
『……!あ、暖かくて鳥肌が…。』
「なんだそれ。」
つくづく静かにならない奴だ。
名前は俺の手から抜け出すと俺本体に抱き着いてきた。
「おい、冷てェよ。」
『冷たいのはローの心…嘘嘘!!だから引きはがさないでー!!』
また突発的な行動を取った名前が解らない。とりあえず俺も名前を抱きしめ返した。
『なんかこういういいね。
寒い時、好きな人に抱き着いて温めて貰うって。
凄い贅沢だと思う。』
そう言って名前は俺の胸に顔を埋めた。
…これが贅沢、か。
「だったら名前は毎晩贅沢だな。」
『?うん…?
そうだね…?』
「なんで疑問形なんだ。
…だってそうだろ?毎晩俺が抱いて熱くさせてやってんだからよ。」
『……!?』
名前の体温が一気に上がった気がした。
『っー!!破廉恥さんめ!!』
名前は俺から離れて船へと走っていった。
「フフ……。」
まだ自分の手に残ってる温もりを握りしめると名前を捕まるえために俺も踏み出した。
冷たくて、暖かくて
(きっと俺は、ずっとこの温もりに溺れるのだろう)
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