不眠症(Law)
「シャチ、名前は何処だ?」
「名前っスか?
そういえば何処に…。」
「いや、見ていないならいい。」
船長はキッチンで水を飲んでいた俺にそれだけ聞くとまた外に出ていった。
「…?あ、ペンギン。
船長が名前を探していたんだけどよ…。お前見ていねぇか?」
「見ていないな。腹減ったらその内ひょっこり出てくるだろう。」
ペンギンは呑気だな。
名前を探している間に船長の機嫌がどんどん悪くなっていくかもしれねぇのに。
「一応俺達も探そうぜ。
とばっちりが来るのはごめんだからな。」
「ああ…そういうことか。」
「俺は自分が可愛いんだよ。」
甲板に出ると誰もいなかった。と思ったら後ろから低い声が聞こえた。
「何してるの?」
「ベポ、名前がいねぇんだよ。お前知らないか?
船長の機嫌が悪くならない内に名前を献上しときたいんだよ。」
「お前最低だな。」
「なんとでも言え。」
「名前は知らないけどキャプテンならさっき見張り台に昇っていくのみたよ。」
「「見張り台?」」
俺達は思わず顔を見合わせた。
その見張り台を仰ぐが何も聞こえないし、見えない。
「俺は大体の想像がつくから戻る。
シャチ、あんまり野暮なことはするなよ。」
「じゃあ俺も行く!」
「は?」
ここまできたというのにペンギンはベポを連れて中に入った。
「何言ってんだあいつら…。」
俺は気になって仕方がない。
腹を括って梯に足をかけた。
あと一歩でたどり着くところだった。
スー……スー……
「……。」
まぁあれだ。
ペンギンの言う通り確かに俺は野暮なことをしてしまったな。
そうだよな、船長は名前を抱きまくらにいつも寝てる。
その抱きまくらが不寝番だったら寝れねぇよな。
不寝番
(うー…ん……あたし出番ない……)
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