Let's Love Lecture! 1 CP表記が……できません。骸雲要素有りの話です。
100%遊び心で書いてます。CP?え、何それ……みたいな。完成予定日は未定。設定は10年後です。まあ、ダークシリアスの息抜き程度にお読みください。綱吉はめちゃくちゃ口が悪いです。骸様は牢から出てます。






☆☆☆☆☆☆☆☆☆





我等がボンゴレボスこと沢田綱吉。彼は二十四歳だというのに、色恋沙汰に未だ不得手なことが周囲を悩ませている。マフィアのボスなら愛人の一人や二人作ってほしい……。これは彼の家庭教師、リボーンの切なる願いだった。

裏社会に巻き込みたくないからと、彼は本命であった笹川京子(彼女の方から告白してきたが)に拒絶の意を示した。何の感情もこめず、胡乱な眼差しを向け心無い言葉を浴びせて。女性からの告白を断る態度としては、些か思いやりや配慮に欠けていたかもしれない。事実、笹川は大粒の涙を流しながらも痛々しい笑顔を向けて沢田の拒絶を受け入れた。




「………京子ちゃん、泣いてたんだ…。不思議だと思わない? 俺に関わらない、それだけで平穏に過ごせるんだよ」




笹川を手酷く振った日、沢田は彼の右腕である獄寺隼人に疑問を投げた。獄寺は沢田の性質を理解していたため、そうですね…とだけ答えた。心中では笹川に同情し、沢田を哀しい人だと思ってしまったけれど。
しかしそれを口に出しては、右腕として、沢田を一番に支えるべき者として未熟になってしまう。だから獄寺にできることは、沢田が自分で他を愛する心に気づいてくれることを祈るだけだった。






しかし人というものは、そう簡単には変われないもので―――











「ボンゴレ!!」


まだ朝日も昇らない頃、慌しく乱暴に執務室のドアが開け放たれる。書類に目を通していた朝型人間の沢田は、ノックぐらいしろよと物々文句を言いながらドアに視線を向けた。南国に生息する黄色っぽい果実みたいな(バナナじゃないな100%)髪型に、特徴的な色違いの双眸。左が蒼、右が緋。まるで宝石がはめ込まれたようだと沢田は毎回感心してしまう。
容姿だけなら……だが。



「なんだよ、骸」
「君、一昨日のパーティーで女性に無礼な真似をしたでしょう!」
「無礼? 何のこと?」


沢田は頭の中にクエスチョンマークを大量に浮かべながら首を傾げる。一昨日のパーティーといえば、確か同盟ファミリーのボスの誕生日会が主体だったはずだ。同盟ファミリーとはいえ、強い後ろ盾を必要としていただけの弱者の集合体。裏切る可能性が低いため傘下に入れたが、こちらのメリットは0に近い。まったく、我ながら甘い性格だと溜息すら出てしまう。


「うーん…」
「君ねぇ……主催であるボスの娘に何て言いました?」
「え……厚化粧をしてブランド物で身を固めて男に媚びるしか能の無い娼婦が触れないでくれる? アンタより、うちの霧の守護者の方が綺麗で清楚だし女らしいよ。まっ、卑しい外見を着飾るしか能の無い馬鹿に、クロームと同じレベルを求める方が無理か……って言ったけど?」



全く悪怯れもせず正直に告げる沢田を見て、六道骸はいらぬ頭痛に悩まされ頭を抱えてしまう。この様子では、女性に対して物凄く失礼なことを自分が言ったとは微塵も思ってないらしい。しかし沢田は頭を抱える六道を心配し駆け寄り、大丈夫!?頭痛いの?医療班呼ばなきゃ!などと本気で宣う始末……。

この心遣いを何故女性に対して持てないのか、これについては六道骸を含めた守護者全員が抱く疑問だ。滅多に関心を示さない雲の守護者…でさえも。



六道は半ば呆れながらも部屋の中央にあるソファに座り、向かいのソファへ沢田を促した。沢田はまだ残っている書類が気になってちらりと後ろを見る。デスクには処理し切れていない書類の山が五つ並んでいた。今日も残業かなぁとぼやきつつも、仕方無しに向かい側のソファに腰掛ける。



「君、どうしてそんなに女性に冷たいんです?」
「冷たい? クロームだってビアンキだって、俺は大切にしてるけど」



沢田が言う通り、彼女達に対しての接し方は紳士的で優しい部類に入る。しかしそれは、彼女達が恋愛対象外だからだ。自分に好意を持つ者だけならまだ許せる。それが愛に変わった瞬間……笹川京子、若しくは一昨日のパーティーで恥をかかされた哀れな女性の二の舞になる。クロームは骸に忠誠を、ビアンキはリボーン一筋、この方程式が崩れて沢田に傾かない限り、沢田は彼女達に優しく接することだろう。



「………言葉を変えましょう。僕は、君に、言ったはずですよね? 君に言い寄ってくる女性に対して、断るのは自由ですが恥をかかせたり失礼のないようにと、あれほど、念を押したはずです」
「うん、言ったね」
「―――その結果が先程の言葉ですか?」



六道はにっこりと笑い、黒く禍々しいオーラを醸し出しながら質問を投げる。沢田は一瞬背筋が凍る感じを覚えたが、またしても本音をそのままに口にする。学習能力……に欠けるのか元々ないのか。



「はぁ。あの女を見たら誰だってそう思うって。無駄に装飾を施した指輪より、お前の双眸の方が麗逸だし。けばけばしい金髪よりも、艶やかな漆黒を纏う雲雀さんの方が壮麗だしさ。あの毒々しい紅が塗られた唇より、クロームの桜にも似た笑顔の方がよっぽどかわいらしいね」




「…………は?」


暫しの沈黙を経た後、六道の口から出たのは意味の無い音だった。
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