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「いたぞ!あそこだ!逃がすなー!」



「まさか、マッカイさんが…」


「逃がしたらマズイ!」





満月の夜。
俺たちは脱走した。

「はぁっはぁっ!」


月の光に煌めくマッカイの毛並みをぼんやり見ながら、これからのことを考える。



『オラは、元々この国のモンじゃねぇ。他所モンだ。だからオメーと逃げたって構わね。むしろ惚れたモン守れるなら本望だぁ。』

『だが、追っ手が…』

『心配いらね。東の国へ行こう。そこなら自由に暮らせるはずだ。』

『マッカイ…』

『心配すんな。』

そう言って頭を撫でてくれた。あの手の暖かさを思い出す。

大丈夫。


マッカイは俺を守ってくれる。
それにマッカイになら…


おっ、俺は何を考えて…
マッカイはそういうことで番いになって欲しいって言ったんじゃない!…はず。

けど番いになるってことは…

チラリと前を走るマッカイを見る。

人間より大きな身体。
鍛え抜かれた筋肉。

こんなんに抱かれたら俺…


バッ、俺はなんてはしたないことを…!

考えるな考えるな!

とにかく今は逃げなくては。


月明かりで赤い顔が見えないよう、マッカイの数歩後ろを走る。

こんな時なのに俺は甘酸っぱい気持ちになってしまう。


せっかくの月明かりだ。
煌めくこの純白の獅子の姿を目に焼けつけよう。



俺とマッカイの共同生活が始まろうとしているーーー。


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