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「…ヨイチ。大変だ。」
囚われつつも何日か穏やかな日が過ぎた。
そんなある日、沈痛な面持ちでマッカイがやってきた。
「王様がな、オメーを側室の一人に迎えたいと申し出があったそうだ」
側室?!
ってあの時代劇とかで殿様が色んな女の人と関係を持つアレか?!
いわゆる愛人?!
「俺は男だ!!」
「わかってる…心はな。」
「っ!」
「王様は愛妻家でな…中々側室を持とうとしなくて…しかもお妃様はお子に恵まれない。そこで、お主なら男だから恋も芽生えず、ただ子どもを生んでくれるだろうと…」
なんだよ…
なんだよ、それ…
「冗談じゃねーよ!人のことなんだと思ってんだ?!」
俺を裏切った生徒会の奴らも!俺のことを雌としか見ない獣人達も!
うんざりだ!ふざけるんじゃねぇ!
「お前も…!その程度のもんだと思ってたのか?俺なんてただの子作り道具だって!都合のいい玩具だと思ってんのかよ!?」
躍起になって腕を振り上げた時だった。
「んなことねぇ…!そんなことさせねぇ…!オラが許さね!」
腕を優しく受け止め、抱きしめられた。
白い鬣が頬を擽る。
「男だから恋も芽生えねぇ、なんて嘘だ!だってオラ、ヨイチ見るとドキドキする。なんか、こう守ってやりてーってキュンて切なくなるんだぁ。」
ちょ、
「へ、あ、な、何言ってんのかわかってんのか?マッカイ?!」
そ、そそそれはまるで…
「ヨイチ…オラがオメー守る…からオラの番いさなってください。」
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