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「目が覚めましたか?」
俺は…
湖で頭殴られて、それから…
「はっ、ここは?!…ってうわああああ!!」
目の前にでかい鹿が!!!
あれかムースってやつか?
マッカイもデカイがこいつはさらにデカイ…!
「驚かせて申し訳ありません。私はグレン・リベット。この国の妃です。王…いや、夫のフィデックの無礼をお許しください」
3メートルにもなろう巨体を曲げ、お辞儀するリベット。
「そして私の無礼も…」
「え…?」
そう言うと、リベットからパシャリ、と謎の液体を掛けられた。
「なんだよこれ?!」
「それは特別な花で作った一種の媚薬です。貴方の正気を無くし、体の自由も奪います。」
「なっ!?」
液体を掛けられた部位が熱い。
頭がくらくらする。
だんだん…何も考えられなくなるような。頭に白い靄がかかったようなフワフワした気分になって…くる。
「…私は石女です。フィデックは優しいからそれでも良いと言ってくれました。しかし、後継を産まなくてはこの国が立ち行かなくなります。」
「俺、にっ…王様の子供を産めと!?」
「フィデックは私を思って、側室すら持ちません。しかし貴方だったら…完全な雌でない貴方だったら許容してくれるはずです」
「あんたはっ…それでいいのか!?旦那が得体の知れない俺なんかと寝て…っ!」
うっ…体が…頭が…もう、何も…
「無理をしないで。そろそろ薬が効く頃でしょう。せめて苦痛のないように、意識を手放してしまいなさい。」
嫌、だ。
そんな…俺は……じゃ、ない。
い、やだ…
マッカイ…!
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