11
「ヨイチ!」

後ろでマッカイの声が聞こえた気がしたが、構うものか。

走って走って走って、住処にしてい森にある湖に着いた。

ここはよく水浴びをするためにくるが、夜中に来たのは初めてだった。

夜風が少し肌寒い。
昼は透明な水も、月明かりの少ない夜は黒く浮かび上がっている。




あんなに怒ったマッカイを見るのは初めてだった。

怒った原因が俺じゃないのが悲しい。

一体俺はどうしたんだ?
こんなん俺らしくない。
まるでヒステリックな女みたいじゃないか…

ああ、けど俺はもう男ってわけでもないんだった。

自嘲した笑みが口元に浮かぶ。

大体最近は気分の浮き沈みが激しいし、体調もあまり良くない。

体の変化か、異世界に来たストレスか。

腹の辺りがどうにも重たい。
偏頭痛持ちじゃあないのに、時折頭もズキズキと痛む。

体調が悪いとドンドン悪い方へ思考が傾く。


所詮獣人と人間じゃ、恋愛関係になるのは無理なのだろうか。
貞操だとか、そういうのも全然違うだろうし…

口ではああ言ってもマッカイも子孫を残すことが重要っぽいし…



グダクダと、堂々巡り。


俯いて水面を眺めた時だった。


何か気配がする。



誰か来る?

マッカイ…?
















「おい…」



「アレ、例の精霊じゃないか?」

「本当だ!捕まえろ!」


違う!二人いる!
マッカイじゃない!


気付いた瞬間走り出す。

だが相手は獣人。
あっと言う間に追いつかれる。







「〜っ!!」


ゴンっと後頭部に衝撃を感じ、体が崩れた。

体が動かない。
頭がぼんやりする…

猿のような獣人に手をとられたところで意識がフェードアウトした…



- 12 -
[*前へ] [#次へ]
戻る
リゼ