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って。


「だあああ!なんでそんなに奥手なんだよおおお!」


「ヨイチ?!」

「だいたい誕生日に初夜ってのはわかるけどいいじゃん!ちょっとくらい!キスしたり、イチャイチャしたりしてーよ!」

大切にしてくれるのは嬉しいけど、なんか納得いかねーんだよ!
こんなに焦ってんのが、俺だけってのが許せない!

もー!
こっちが襲ってやる!


ドサッ


ふ、押し倒してやったぜ。
ん?アレ?



「…何やら俺の尻の下が硬いンデスガ。」

「だっ…だから嫌だったんだー!我慢できなくなるから」


おおう、コレがマッカイの…
なるほど、これは中々その、アレだ。立派な…
ええい!だからと言って怯まないぞ!



「がっ我慢しなくてもいいじゃないか…それに素股とか、なんならう、うう後ろ使ったっていいし…」








「…獣の本能舐めるなよ」

突然低い声を出され、びくりとする。

「オメー最近おかしいべ。ものすごいフェロモンが出てる。時々当てられて襲ってしまいそうになる…誕生日まであと少しなのに…」


「その、誕生日にっての、そんなに大切な伝統なのかよ?」

思わず聞いてしまう。
正直現代日本で生きてきた俺にとって、そんなものは迷信にしか聞こえない。
文化の違いというやつかもしれないが、いかんせん非合理的だ。

すると、マッカイがゆっくりと口を開いた。


「…オラの、オラの前の番は別のライオンに寝取られた。」

え?


「おまけに間にできた子まで相手に殺された!全部誕生日に初夜を行わなかったせいだ!」

なんだよ、それ。


「…くだらない」

「ヨイチ…?」

「そんなのくだらないって言ったんだよ!なんだよそんなモン!嫁さん寝取られたのも子どもを殺されたのもマッカイが弱かったからだろ!?迷信なんかのせいにするな…っ!?」


バチン!


頬が熱い。
え、俺マッカイに叩かれた?


「お前に何がわかる!?雄として敗れ、さらに愛しい我が子まで失ったオラの気持ちなんてわかるはずないんだ!」


優しいマッカイの初めて剣幕に身じろぐ、頬はジンジン痛むし、それ以上に胸が痛かった。張り裂けそうだ。

矢も盾もたまらず、マッカイに背を向け、走り出す。






ああもう、思考がぐちゃぐちゃだ。
最低だ。


前の番?
子どもがいた?


俺が1番ショックだったのは叩かれたことでも、拒絶されたことでもない。

マッカイが以前想いを寄せた相手がいて、子どもまでいて。

そのことを知った自分がとてつもなく嫉妬していることだった。









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